美女失脚 Vol.9

「奥さま業もバッチリ♡」浮かれる美人秘書が、出勤初日に財界のドンを激怒させたワケ

「女の価値は、顔でしょ?」

恵まれたルックスで、男もお金も思い通り、モテまくりの人生を送ってきた優里・29歳。

玉の輿なんて楽勝。あとは、私が本気になるだけ。

そう思っていた。

だが、30歳を前に、モテ女の人生は徐々に予想外の方向に向かっていく…。

紆余曲折を経て、ついに一般社団法人の秘書に転職した優里。初出勤の今日、一体どうなる!?


青空が綺麗な、よく晴れた朝。

優里は、丸の内の仲通りをグルグルと歩き回っていた。

今日は、新しい職場の初出勤日。気合を入れすぎて、始業の30分も前に到着してしまったのだ。

この暑い時期、化粧崩れも汗ばむのも避けたいからどこかでじっとしていたいのに、ソワソワしてしまって動いていないと落ち着かない。

−はあ、緊張する…。

鍛冶橋通りを渡る直前、横断歩道の信号が点滅し始めた。

ヒールだし、急いでいるわけでもない。ゆっくり行こうとその場で立ち止まったところ、手にピシャっと、何か冷たい液体がかかったのを感じた。

−ちょっと、なに!?

驚いて振り向くと、アイスコーヒーを持った、優里と同世代と思しきサラリーマンが立っていた。

「す、すいません…!急いでいて。わぁ、どうしよう…」

男はオロオロと狼狽えていて、「すいません」を繰り返しながら、ハンカチを必死に探している。

−あーあ。イケメンだったら良かったのに。

振り返った先にいた男が見るからに垢抜けない男で、がっくりと肩を落とす。

幸い、手に少しコーヒーがかかってしまっただけで洋服やバッグに被害はなかった。

「気にしないでください」と優里が告げると、男は「本当にすいません」と、深々と頭を下げながらハンカチを差し出し、そのまま走り去って行ってしまった。

優里は自分のハンカチで手を軽く拭いた後、「よし。そろそろ行こう」と、オフィスへと向かった。

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