“それなり”では満足できない。格差の壁にぶち当たった女が、オランダ移住を決めた理由

海外移住先をオランダにした理由


「私のキャリアのためにヨーロッパを拠点にしたかったこともあり、色々調べていたら“子供の幸福度調査”で首位になったオランダが候補に挙がってきました。

理由は、もちろん子供の幸福度が高いことにも惹かれましたが、それ以外にもフリーランスのビザが取得しやすいこと、オランダ語が話せなくても英語が普通に通じること、教育システムが素晴らしいことの3つですね。オランダをターゲットにして、3年かけて移住計画を練りました」

3年かけた移住の準備


玲子は、まず日本でフォトグラファー兼WEBディレクターとして独立した。

移住のために日本で経験を積みながら、海外のメディアやアーティストとも積極的に仕事する機会を作り、ヨーローッパ出張の頻度も増やした。

そして、夏休みなどを利用し家族で10日から2週間ほどの短期滞在をオランダで何度か繰り返した。その期間に、学校を下見したり住む場所に目星をつけたのだという。

「学校は、色々見た結果、現地のバイリンガルスクールにしました。英語とオランダ語で授業をしてくれるところです。あと、どうしても受けさせたかった、イエナプラン教育を取り入れているところにしました。

生活費はもちろんかかりますけど、オランダは移住してしまえば公立学校の学費はタダですし。公立と言えども娘が通っているイエナプランを始め、シュタイナー、モンテッソーリなど子どもにあった学校を選べることが魅力ですよ。オランダの教育には大満足です」

イエナプラン教育とは、もともとドイツで生まれたもので、子どもたちの個性を大切にして「対話」を重視し、異なる年齢の子どもたちが一緒に学習する教育方法のこと。

自分と違う他者の考え方を自然に受け入れられる多様性が身につくと、今日本でも話題になっている教育法だ。

ビジネスと教育のためとは言っても、「母娘での海外移住をよく決断できましたね」と言うと、意外な答えが返って来た。

「実はこの移住は、最後は星占いで決めたんです(笑)。

星占いで私と娘の星回りを診てもらったところ、娘は日本で教育を受けるよりも海外で教育を受けた方が才能を発揮できるって。最終的には世界を飛び回る仕事に就くことになるからって言われました。

私の仕事も海外に出ることによって格段に幅が広がると言われたので決断しました。最後は星頼みっていうやつです(笑)」

フリーランスで仕事をしていると、意外と孤独で決断は一人でしなければならないことが多い。そのため、自然と星回りや運気などを気にするようになったとのこと。

実際住んでみて、オランダ暮らしはどうか聞いてみた。

「オランダ人って基本週4日しか働かないんですよ。日本にいた頃みたいに必死で働いて保育園の送り迎えもギリギリでやっていた生活ではなく、ゆとりある生活を送ってます。仕事と家庭を大事にできる理想的な生活です。

仕事の幅も広がって、最近ではロンドンやパリのアーティストと会うことも増えました。オランダを拠点とすると移動が楽なのも良いですね。

娘も小学校にすぐに馴染んで、今では私よりもオランダ語が上手です。日本にいた頃は、“一流の教育を”と考えていましたが、今は“娘に合う教育を”と考えるようになりました」

一番の問題は、家族がバラバラになっていることだが、毎日ビデオ通話もしているから距離感はそこまで感じないという。

むしろ、ご主人が東京にいるということが良い保険となって、戻る場所があるという安心感があり、伸び伸び生活できているそうだ。

「主人もクリエイティブな仕事をしているので、海外に私たちがいるということは良い刺激になっているみたいです。

今はお互いの休みや出張を利用して東京とオランダを行き来しています。私の方が休みを取りやすいので、私たちが夏休みなど長期で日本に滞在することが多いですけど」

そう語る玲子は、心から今の生活に満足しているように見える。世界に出てしまえば、東京での格差社会という枠なんて気にならないようだ。


▶Next:6月28日金曜更新予定
次回は、「世界を股にかける実業家」が登場。トリプルライフの必需品とは?

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