“それなり”では満足できない。格差の壁にぶち当たった女が、オランダ移住を決めた理由

玲子は、地元愛知県の進学校から都内の有名私立大学に入学した。学生時代は、写真の専門学校にダブルスクールで通いながら、出版社や広告代理店でアルバイトをした。

卒業後は、小さい頃から夢だったファッション雑誌のフォトグラファーになった。そして、仕事を通じて広告代理店に勤務するご主人と出会い結婚。

「憧れだったフォトグラファーとして“それなり”に成功し、広告代理店で活躍する主人がいて“それなり”に幸せ。私の東京暮らしは、“それなり”に成功だと思っていました…。

でも娘が生まれて、“それなり”では娘に一流の教育が与えられないことを悟りました」

東京で出会ったリアル“華麗なる一族”


「私と主人の間でよく話題になるのが“一流は遺伝する”というもの。

結局、どんなに頑張って“それなり”の仕事に就いたとしても、先祖代々東京に住んでいる由緒正しい一流の人たちとは同じ土俵に上がれないということです。

娘が生まれて改めて気付いた東京の格差社会でした。住んでいる地域のせいもあるのかもしれませんが、ママ友のレベルがすごいんです」

実は有名政治家のお孫さんだったり、実家が大企業の経営者だったりと由緒正しい東京出身者ばかり。そして祖父母や、曽祖父母の世代から当たり前のように同じ有名私立小学校に通っている。

有名私立小学校の同窓会では卒業生が孫を連れて集まり、先生方に「孫をよろしくお願いします」と挨拶するのも当たり前の光景だという。

「もうそれは、“華麗なる一族”という言葉がぴったり。テレビドラマの世界だ、なんて思っちゃいました(笑)」

子どもに良い教育を受けさせたい思いは強いが、東京に縁もゆかりもない玲子はどうしたら良いのかわからなくなったそうだ。

「もちろんコネクションだけで成り立っているとも思わないですけど、たとえ名門と言われる学校に入ったとしても、今の世の中本当の意味で世界に通用する良い教育が手に入るのかも疑問に思えてきました。

だからここは一発逆転、地方出身者なりの下克上作戦を立てたんです(笑)」

その下克上作戦こそが“海外移住”だった。

インターも考えたが、アフタースクールなど含めると年間300万円ほどの学費がかかることや、今後の玲子自身のキャリアを考えたら海外移住する方が一石二鳥だという結論に至った。

「さすがに家族全員で移住となるとリスクが高いので、まずは私と娘が移住することにしました。5年を目処に、主人も一緒に移住するか検討するつもりです。

語学力はもちろんですが、根本的な考え方の基礎は小学校時代に築かれると思うので、移住するなら娘が小学生の時期にという思いが強かったです」

子どもの教育にどれだけ投資できるかは、親の経済力に依存する。アッパー層は惜しみなく子どもの教育に投資できるが、その投資先は重要だ。

ところで、海外移住といってもなぜ、オランダを選択したのか尋ねた。

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