男から必要とされるのが生きがい。欲望を止められぬ女が、婚約中に犯した過ち

「少し前に、彰久と口論になったんです。原因ですか…?

私がすごく気に入ったウェディングドレスがあったんですけど、それが彰久的に予算オーバーだったみたいで。でも一生に一度のことですよ?それに私にすっごく似合ってたし。彰久だって実際にドレスの試着が始まる前は、麻友ちゃんが一番綺麗に見えるドレスにすればいいよ、とか言ってたくせに…!

どうしても諦めたくないから、母に相談して援助してもらうことにしたんです。そのことを話したら彼、いきなり不機嫌になって。そのドレスである必要ないだろって、また理詰めで説教してきたんですよ」

怒りを思い出したのか、麻友は思い切り口を尖らせ眉間にシワを寄せる。

「本当にムカついたから、彼のマンションを飛び出して、ヒルズのスタバでしばらく憂さ晴らししてたんです。そしたら…タイミングよく裕也からLINEが届いて」

そこまで話すと麻友は一瞬口をつぐみ、周囲に配慮するようなそぶりで声のトーンを落とした。

「彼と喧嘩したことを話し、ぐだぐだと愚痴っていたんですけど…そのうち家に来る?とか言われて。私だっていつもなら断るんだけど、その夜は本当にむしゃくしゃして、彼のマンションに戻るのも嫌だし、一人でいるのも嫌だった。それで、行っちゃったんですよね」

婚約中にも関わらず、別の男の部屋で二人きりになったという麻友。

「結論から言うと…そういうことになりました。勢いだったとはいえ、後悔なんてなかったです。それより、私の望みを叶えてくれない彰久と結婚を決めたのは間違いだったかも…とか思ったり。だって別に、彰久じゃなくても私を好いてくれる人は他にいるわけだし」

この一件があってからというもの、裕也からはしつこく誘いのLINEが来るようになったそうだ。

もちろん麻友に二度目のつもりはなく、適当にあしらっているという。そして彼のほうも一人の女に執着するタイプではない。それゆえ泥沼化する危険はないと踏み、麻友はこのまま裕也と付かず離れずの関係を継続するつもりらしい。

「冷静に考えて、結婚相手として彰久に勝る相手はいません。だから結婚はするつもりだけど…正直、この先ずっと彼だけっていうのは無理かも」

特に悪びれる様子もなく、爆弾発言をする麻友。

「彰久がちゃんと私をチヤホヤしてくれればいいけど。そうじゃないと私、他にチヤホヤしてくれる男のところへ行っちゃうと思う」

彼女には自分の行いを反省する気などないようで、そう言い放って強気な顔を見せるのだった。

▶NEXT 6月25日 火曜更新予定
最終回:「どの男も物足りない…」バツイチ女のダメ恋報告

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