男から必要とされるのが生きがい。欲望を止められぬ女が、婚約中に犯した過ち

「リッツ・カールトンでディナーを楽しんだあと、リザーブしてくれていた部屋で薔薇の花束と一緒にプロポーズされたんです。その時は本当にもう、幸せで。でも…あれ?と思ったのは、友人たちに婚約を報告した後でした」

その完璧な求婚を、麻友はまず両親や親友たちに報告し、さらにインスタグラムにも投稿したという。SNSでは、すぐに反応があり、おめでとう!、羨ましい!、素敵!…そんな言葉が並んだ。

「続々と届くコメントに喜んでいたのも束の間で、婚約報告後に会った男友達の反応が、これまでと違うことに気がついたんです。もちろん、皆おめでとうと言ってくれました。けど、なんていうか…これまでと態度が変わった気がして。それまでは“女”として扱ってくれて、チヤホヤしてくれていたのが、急にターゲットから外れたというか。それがなんだかすっごくモヤモヤしちゃって」

麻友には非の打ち所のない婚約者・彰久がいるのだ。その他大勢の男が態度を変えようがどうでもいいのではないか。素直な疑問をぶつけてみると、彼女は真顔でこう反論してきた。

「どうでもよくなんかないです。たとえ男友達でも、ちゃんと“女”として見て欲しい。私、男の人にはチヤホヤされないと嫌なんです。だからそのとき私、婚約したこと言わなければよかったって後悔しました。婚約してからというもの、それまではチヤホヤしてくれていた男たちのほとんどが、潮が引くようにサーっと去っていきました。なんてわかりやすいんだって笑えるほど。…でも実は一人だけ、それでも言い寄ってきてくれる人がいて」

その相手というのは、学生時代から知っている裕也という男だという。

しかし婚約している女にそれでも言い寄ってくるなど、まともな男なのだろうか。

「そうですね…確かにまともではないかもしれないですね(笑)。短期スパンで女の子を取り替えているような男です。だから私もそういう関係になろうとは思っていなかったわけで」

あっけらかんと笑いながら、麻友は言葉を続ける。

「でもやっぱり悪い気はしないんですよ。俺は麻友に求められればいつでも駆けつける、とか、旦那のことが嫌になったら俺はいつでもウェルカムだから、とか言ってくれたりして(笑)」

話を聞けば聞くほど、その裕也という男とは付き合いをやめた方が良いように思える。ところが麻友の判断は違っていたようだ。

「彰久って真面目だし、何か相談するといつも理詰めで話してくるから時々息がつまることがあって。だからそんなとき、裕也のことを都合よく使っていたんですけど…」

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