港区モード Vol.4

最後の男:遊び歩く“不良妻”が、誰にも秘密にしている、夫への誓い

港区には、モードな男たちが多数出没する。

スタイリッシュで、品があり、上質なファッションを纏う『港区モード』な男たち。彼らが街を歩けば、そこにドラマが生まれる。

この連載では、『港区モード』な男を目撃した人々に起こる、小さなドラマを紹介しよう。

人生の「最後の男」を探し求める千沙の悩みを聞いていた薫。既婚者である薫が、人生で一番好きになった元彼と再会することになり…。


今夜私は、過去に身を焦がすほど好きになった男と、7年ぶりに会う。

この予定は、思っていた以上に私の心をザワつかせていた。

当日の朝、出勤準備をしながら私は何度も洋服を着替えた。数日前から考えていた紺色のワンピースは、袖を通してみるとなんだかしっくりこなくて、それから私は5パターンのコーディネートで散々頭を悩ませた。

ようやく洋服が決まったかと思えば、次は玄関先で何度も靴を履き替えていた。

ヌードベージュのパンプスか、それとも黒のオープントゥか。何度も何度も鏡の前で試して、いよいよ遅刻するという時間まで粘った後、慌てて家を出て駅までの道を走った。

前の晩にしっかりパックをしていたおかげか、肌の調子はすこぶるよかった。けれど、会社の化粧室で自分の顔を見ると、いつもよりアイメイクとチークがきつめで、いまいちパッとしない。

―最悪…。

別に、何かを期待しているわけではない。ただ、7年ぶりに会う今夜、博樹にがっかりされるのだけはごめんだ。

「綺麗になったな」とか、「若い時の数年間だけでもこの人と付き合えてよかったな」などと、少しでもそんな風に思ってもらいたい一心で頑張っていたのに、どうやらすべてが空回りしているようだ。

そんな風に不完全なまま、私は博樹との再会の時を迎えることになった。

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