女たちの選択~その後の人生~ Vol.2

「遠慮せずに外で恋愛していい」夫からの驚きの提案を、32歳の妻が受け入れた理由

外の世界に出始めた妻の誤算


「彼にとって、私は“子どものママ”以外の何者でもなくなっていたんでしょう。“考えておく”とやっとのことで答えた時、主人の顔は安堵で溢れてましたよ。...仕方ないですね。こうなったら、男と女はもうダメです」

そうして真弓は、“夫の希望通り”、外の世界へ目を向けることにした。

図書館の司書の仕事を始め、友人の集いなどにも積極的に顔を出し始めたのだ。

「幸か不幸か、男性からのお誘いは度々あります。仕事場で出会ったり、古い友人と再会したり...。夫に公認されている立場も、慣れてしまえば悪くないです」

しかし、そんな風に多くの男性と会うようになったならば、実際に家庭崩壊を招くトラブルが起こることはないのだろうか。

「嘘だと思うかもしれませんが、どの男性ともごくたまに食事に行ってお酒を飲んで、それでお終いです。その気になってしまった男性を上手くあしらうスキルだけは上達しました」

真弓は茶化すように続ける。

「...結局のところ、私は今でも主人を求めているんです。彼の提案を受け入れたという選択が正解だったかは分かりません。でも、あのとき断っていたら...。外で遊ぶのが好きなのは、もちろん彼の方ですから。もっとややこしいことになってますよ」

そう答えた彼女は、良き妻でも良き母でもなく、一人の男を心底思い続ける“女”の顔をしていた。

「それに、実際よく言われるんです。“まだ若いのに、大変だったね”“これからはもっと自分に時間を使った方がいい”“まだ学べる機会も沢山あるよ”とか...。専業主婦って、そんな風に思われてしまうのでしょうか。私は家の外に出るまで、自分が不幸だと思われてるなんて知らなかった。知りたくもなかった」


“専業主婦=不自由な人生”という偏見は、一体どこからやってきたのだろうか。

もちろん不満を持つ主婦が多いことも事実だろうが、少なくとも、彼女たちを憐れむ権利は誰にもないはずなのに。

個人の幸せとは、本来、もっと自由なものであっていいように思う。


▶NEXT:6月29日 土曜日更新予定
「自分の子どもが、可愛くない...?」待望の第一子を産んだ女が直面した、過酷な現実とは

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