家族ぐるみ Vol.1

“家族ぐるみ”は悪夢のはじまり。夫の友人家族との、いびつな友情の幕開け

人は、“繋がり”を求める生き物だ。

幸せになりたくて友を求め、恋をし、家族を作る。

そうして幸福な家庭を築いた者は、次第に自分たちだけでは飽き足らず、よその家族まで求めてしまう。

それが、底なしの沼だとも知らずに...。

これはさらなる幸せを求め“家族ぐるみの付き合い”を始めた人々の物語。


<あなたがたに新しい戒めを与えましょう。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。>

―ヨハネによる福音書 13章34節



「ねえ、誠。この服でいい?それともやっぱりパンツじゃなくてスカートの方がいいかな?」

「美希、服なんてなんでもいいよ。それより早く行こうぜ!」

誠の言葉に同意するかのように、玄関ではすでに靴を履いた娘の真奈が「ママ、早く早く!」と足を踏み鳴らしている。

ゴールデンウィークの初日。ホテルへランチに出かけるなんて、休日の予定といえば近所の公園に行くくらいが関の山の海野家にとっては一大イベントなのだ。

ましてや今日は、夫である誠の友人2家族と初めて交流する特別な機会でもある。誠と真奈が興奮するのも無理はなかった。

美希の心も、いつになくソワソワと浮ついている。新しい友人を得る機会などいつぶりだろう? 36歳のワーママともなると、もともとの友人と会う機会すら減る一方なのだ。

美希は鏡の前で、新しい出会いへの期待に膨らむ胸にリネンのジャケットをあててみた。

印象は少しでも良い方がいい。

同じ8歳の子供を持つ2家族とは、もしかしたら”家族ぐるみ”の長い付き合いになるかもしれないのだから―。

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