元・夫婦 Vol.2

元・夫婦:「あの時の、子供?」過去に夫を奪われた女の古傷をえぐる、衝撃の真実

“夫婦”

それは、病めるときも健やかなるときも…死が二人を分かつまで、愛し合うと神に誓った男女。

かつては永遠の愛を誓ったはずなのに、別れを選んだ瞬間、最も遠い存在になる。

10年前に離婚した園山美月(35)は、過去を振り切るように、仕事に没頭していた。

もう2度とあの人に会う事はないと、思っていたのに―

念願だったモデルプロダクションを立ち上げ、長年の夢をようやく掴みかけていたそのとき。契約にやって来た子役出身のモデル小春とともに現れたのは、10年前に離婚した元夫だった…。


美月の人生を狂わせた、男の存在


―こんな形で再会することになるなんて…。

自分の元夫が、契約にやってきたモデルの父親だという現実を、美月はなかなか受け入れられずに、茫然と立ちつくすしかなかった。

「小春。この事務所と契約は出来ない」

「どうしてそんなこと言うのパパ!?」

「とにかくダメだ、帰るぞ!」

元妻である美月の姿を見て動揺し、裕一郎が引き返そうとするのも無理はない。それに状況が理解できない小春が反抗するのも、同じく当然のことだろう。

しかし、裕一郎が立ち上がり小春の手首を掴んだその瞬間、小春の「痛いよ!」という悲痛な声が響き渡る。我に返った美月は慌てて駆け寄ると、思わず突き放すようにして二人を引きはがした。

「乱暴はやめて!あなたそれでも父親!?」

美月はおびえる小春を抱き寄せ、裕一郎のことを睨みつける。

「小春ちゃん、大丈夫?痛かったね。手首があざになったら大変。和也、冷やしてあげて。ストロベリーミルクも用意しているのよ。好きでしょう?向こうで飲んでおいで」

小さな背中をさすりながら、そっと和也に目配せをして小春と応接室を出るように促す。こうして、ついに“元夫婦”は、二人きりになったのだ。

ピンと張り詰めた空気の中で、沈黙が続く。美月がじっと元夫のことを見据えていると、裕一郎は目をそらした。

「その…、悪かった」

先に沈黙を破った裕一郎は、腰に右手を当て視線を落とすと、わざとらしいくらい大きくため息を吐く。謝るときのその仕草とセリフは、10年前と少しも変わっていない。

こうやって重苦しい空気に耐えかねて先に沈黙を破るのは、いつも裕一郎の方だった。

「謝るなら、小春ちゃんに謝ってちょうだい」

「自分のことより人のことか…、相変わらずだな。しかも、ここの社長か。恐れ入るよ、本当に美月は変わらないな」

裕一郎はあきれたように少し笑ったが、美月は笑顔を返す気にはなれない。

彼の一つ一つの仕草や言葉が、もう乗り越えたと思っていた痛々しい過去の記憶を呼び戻すのだ。

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