12星座の女たち Vol.1

12星座の女たち:「4月15日」に何かが起こる。“都合のいい関係”に苦しむ女を救った、意外な存在

「すみません、小宮先輩。」

ベッドで具合が悪そうに横たわる里奈の背中を、有紀子は優しくさする。仕事中に迷惑をかけたと、里奈はバツの悪そうな顔をしていた。

有紀子は常日頃から、体調管理も仕事のうちだと厳しく接してきた。自分と同じペースで働くことを後輩たちにも求めていたことに気づいた有紀子を襲ったのは、激しい後悔だった。

「いいのよ、ずっと忙しかったもの。明日は休んで、病院に行ってね。」

アキラのことで苛立っていた今日は、余計に根詰めていた。それが、後輩たちにも伝染したのだろう。そんな自分の行いを恥じ、優しい言葉をかける。

しかし、里奈は次の瞬間ボロボロと泣き出したのだ。

「先輩、ごめんなさい。違うんです…。本当は…。」

「え?」

突然取り乱し始めた里奈が口にした言葉は、信じられないものだった。

「私、妊娠したんです。先週分かって…。相手はカメラマンの近藤さんです。彼、忙しくって連絡が取れなくて、不安で仕方なくて…。ようやく金曜に会えたんですけど、ほっとしたらつわりが来たんです」

里奈は「プロ失格ですよね」と言ってから、わんわん泣き出したのだ。


―なんて、悲惨な誕生日なの…。

残した仕事をほかのメンバーに託して里奈を自宅に送り届け、自分もそのまま帰宅した。いつかアキラが自宅に来た時のためにと用意しておいたワインの栓を抜く。

そして、バカラのワイングラスに並々とそれを注ぎ、1杯目を一気に飲み干す。

長年、恋人......


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