“女友達”がやたらと多い男を好きになった女の悲劇

未央の元彼・雄輔は大手広告代理店勤務の32歳。

彼女が勤めるオーガニックコスメブランドがPRイベントを開催した際、招待客の一人として招かれていたのが彼だった。

「私は午後のプログラムで、この春発売となる“オーガニック素材の制汗シート”をプレゼンする役割だったんですが、午前中は受付と会場誘導に徹していました。

会場設備と人員の関係で、招待客の荷物は預からないフローだったんですが、雄輔が大荷物を抱えて現れて。そのまま会場入りするのは明らかに大変そうだったんです。だからこっそりスタッフ控え室で荷物を預かってあげたんです。それが、出会いのきっかけです」

未央の親切心から始まった恋愛。それは本当にただの親切心だけだったのだろうか?

「そうですね…初対面で“素敵だな”と思ったことは認めます。そうじゃなきゃ、わざわざ特別対応なんてしないですよね(笑)。彼は見た目がものすごくかっこいいというわけではないんですが、こちらの警戒心を一切取り払うような人懐こさがあったんです」

自然な流れで名刺を交換したら、後日彼からお礼メールが届いたそうだ。そして、ごく自然な成り行きでデートをすることになったという。

「なんていうか、誘い方が自然でいやらしさがないんですよね。度々会うようになって、名前で呼ばれたりして好意も感じるんだけど…絶対に無理やり先に進もうとしないんです。気がついたら私の方が好きになっていました」

未央は白状するようにそう言うと、照れたように笑った。

しかし彼女が雄輔に感じた人懐こさは、当然ながら自分だけに向けられるものではない。

思い切って未央から「私と付き合ってほしい」と告白し、晴れて恋人同士になったものの、やきもきとする出来事が次から次へと起こり、彼女を苦しめたという。

「彼、投稿はしていないんですけど閲覧用のInstagramアカウントを持ってて。興味本位っていうか気になっちゃって、誰をフォローしてるのかを確認してみたんです。そしたら…沢山出てきたんです。さりげなさを装ったキメ顔をプロフィール画に設定した、いかにも自分に自信ありげな美女アカウントの数々が」

こういうとき、ほとんどの女は探偵と化す。未央もその例に漏れず、その美女アカウントは雄輔が一方的にフォローしているだけなのか相互フォローなのかどうかをつぶさに確認した。

「そして気がついたんです。どうやら雄輔はやたらと女友達が多いらしい。しかも派手めの人ばかり、って。なんていうか…息苦しくなりました。途端に彼のことが信じられなくなって。我慢すればよかったのかもしれないけど、彼に直接聞いてみたんです。この女の子たちと、どういう関係なの?って」

しかし当たり前だが、答えを聞いたところで安心感など得られなかった。むしろ、不安が募ったと言う。

「友達の友達とか旅先で出会った子とか色々、だそうです。なにそれ合コン?ナンパ?って感じですよね。“ただの女友達だよ”なんて言われても信用できない。だってお互いに下心ゼロってことはあり得ないんだし」

さらに追い打ちをかけるように、“男女にピュアな友情などない”と確信する出来事があったという。

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