華麗なるアラフォー妻たち Vol.8

用心深い夫が、スマホを置き忘れた夜。「真実を知りたい」とパンドラの箱を開けた38歳妻の末路とは

20代、30代の頃とは比べ物にならないほどの悩みを抱える、東京のアラフォー妻たち。

肌や髪の衰えだけではない。夫との関係、子育ての苦悩、女としての様々な葛藤…。

だが、彼女たちには、強さがある。若い時期を貪欲に生き、濃厚な時間を過ごしてきたからこそ、小さなことではくじけないのだ。

華やかな世界の裏で繰り広げられる、アラフォー妻たちのリアルな日常を、少しだけ覗いてみようー。


10年という歳月を経て、やっと「正妻」という立場を手にいれたアラフォー妻、麻衣子。しかし、結婚した途端、夫に若い女の影がチラつき始める。


まだ見ぬ浮気相手への対抗心


私は、日本橋高島屋の、特選衣料雑貨のフロアに来ていました。

セリーヌ、バレンシアガにサンローラン。お気に入りのブランドばかりが並んだエリアが好きで、時間が出来るたびに、この2階と3階、4階の服や靴を長いこと見て回ります。

「まぁ、藤堂さま、とってもお似合いですわ」

ここに来ると、誰かから丁重に扱われるという高揚感から、ついつい必要のないものにまで手を伸ばしそうになります。長く日陰の立場に甘んじていたせいで、少し屈折しているのでしょうか。

「あちらの小さなお財布も見せてくださらない?それから、このバッグの黒も」

晴れて年収3,000万円の夫の正妻に収まったとはいえ、我が家は、自由自在に高級品の買い物が出来るほどの家計のゆとりはありません。ですが、こうして平日の真昼間から飲み物を出され、ゆっくりと新作の品定めをすることくらいは出来るのです。

白い手袋を着けた店員によって差し出されたバッグを手に持ち、店の鏡に全身を映しました。

私の顔は、先週初めて受けたマイクロボトックスリフトが効いているのか、随分と若々しくなっている…と思います。

フェイスラインのたるみと目尻のシワを改善するために、広範囲にわたって微量の、特殊なボトックスを注射する合計15万円もしない施術でしたが、その効果には目を見張りました。

けれども次の瞬間、見たこともない夫の若い浮気相手の姿が、何故か頭をよぎってしまいます。

夫が今夢中になっているのは、どんな女なのでしょう。

クールビューティ系なのか、それとも、とびきり若いだけの、グラビアアイドルのような女なのか…。

「一体、どこの誰なのかしら…」

そう、心の中で呟きます。

その後にもう一度鏡を見ると、先ほどまでは気にならなかった目の下のクマが目につきました。

私は鏡の前へもう一歩進み、この顔が老けて見える要因の一つであるクマを凝視し、右手の中指でなぞってみます。

もはや、バッグは目に入っていませんでした。

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