プロポーズの翌日に、彼から「白紙に戻したい」と言われた27歳女の事情

「彼は結局最後まではっきりとは言わなかったけど、つまりこういうことです。地方出身の、どこの馬の骨ともわからぬ女は信用できない。一流大学を出て、大企業に勤めている女性じゃないと結婚相手としては認められないって」

詩織はそう一気に語り終えると、苦々しい表情で俯いた。

「結婚はできない」と言いながらも秀樹は、「俺は本当に詩織のことが好きなんだ」と言ったり、「これからもずっと一緒にいたいと思ってる」などと並べたて、詩織を繋ぎとめようとしたらしい。

「プロポーズを受けるくらいだから、もちろん私だって秀樹を愛してました。もう一度考え直してくれないかな…とか、ご両親に会って話す機会だけでも作ってもらえないかな…とか、考えなかったわけじゃないんです。でも…なんか急激に冷めちゃったんですよね」

詩織は、静かにカフェラテを啜ると、睫毛を伏せたまま言葉を続けた。

「だって、秀樹ってもう33歳なんですよ?いい大人が、自分で決めた結婚相手を親に反対されるって…それって親から信用されてないっていうことですよね。

その関係性がもう情けないっていうか。それに反対されて説得もできないなんて、彼の能力も疑っちゃいました」

嘲笑うように言った詩織の表情は固い。しかし顔を上げたその目には力があり、はっきりとした意志が感じられた。

「少なくとも私は10代から自立して、自分の力で生活してます。いつか自分でエステサロンを経営したいっていう夢もあって、そのために努力もしている。恥ずかしい生き方をしてきた覚えなんてない。

それなのに…親に自分の彼女を否定されても反論すらしない人なんて、こちらから願い下げですよ。

あと、これは結果論ですけど、振り返ってみれば最初から“?”と思うことはたくさんありました」

割り切ったように笑いながら、詩織は元彼・秀樹の“言いなりエピソード”を教えてくれた。

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