「僕の彼女は、女優です」 Vol.1

「僕の彼女は、女優です」:女優とIT社長の出会いは、六本木の食事会。“普通じゃない恋”が始まった夜

「今日は珍しくオンタイムだな」

『イルブリオ』の個室に先に着いて待っていた僕を見て、弘人先輩は驚いたような顔をした。いつも仕事が押し、オンタイムに行けないのは僕の悪い癖だ。そんな話をしていると、スッと個室の扉が開いた。

扉の方へ視線を向けると、キャスケットを被った、とんでもなく脚の長い女性が立っている。

「はじめまして。亜弥です」

細くて長い足を持て余しているその女性は、何かで見た記憶がある。たしか女性誌のモデルさんだ。

「あの、今日もう一人増えちゃったんですけどいいですか?」

少し冷たい話し方の亜弥に弘人先輩も若干押されつつ、“もちろん!”と鼻息が荒くなっている。たしかに、こんなに綺麗でスタイルの良い女性を目の前にしたら誰もが浮かれるだろう。

そうしているうちに、元々局アナで今はフリーになり、バラエティ番組でよく見かけるアナウンサーがやってきた。

小柄で可愛らしく、大きなマスクで顔を隠しているが、顔が小さすぎてマスクが異様に大きく見える。

弘人先輩の周囲が華やかなことは知っていたが、続々と集う有名人たちに、僕は若干戸惑いつつも、改めて東京という街のパワーを感じていた。

「ユウミ、ちょっと遅れるみたい。先に始めてて下さいとのことです」

その女子アナの一言で、僕たちは簡単に自己紹介をしあう。二人とも肌が綺麗で、独特のオーラを放っている。比較しては大変申し訳ないが、この前の女の子たちとは何かが違う。

—彼女たちも可愛かったけれど、何が違うんだろうか?

そんなことを一人冷静に観察している時だった。

「ごめんなさい、撮影がちょっと押しちゃって」

扉の前には、黒の伊達眼鏡にキャップで変装している一人の女性が立っていた。


顔もよく分からないし、身長もそこまで高くなく、亜弥のように抜群にスタイルが良いわけでもない。

でも何故だろうか。

そこだけ大輪の花が咲いたような華やかさが漂っており、僕は思わず息を飲んだ。

「あ、悠美先輩お疲れ様で〜す」

亜弥が着席を促し、幸運にも悠美は僕の目......


【「僕の彼女は、女優です」】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo