罠 Vol.6

結婚まであと一歩のところで立ち塞がる、ある女の存在。医師の妻になるための、残酷な条件とは

—今すぐ、婚約を破棄しろ。

ある日、柊木美雪(ひいらぎ・みゆき)のSNSに届いた奇妙な一通のメッセージ

恋人の黒川高貴(くろかわ・こうき)からプロポーズをされて幸せの絶頂にいたはずの美雪は、その日を境に、自分を陥れようとする不気味な出来事に次々と遭遇する。

“誰かが、私たちの結婚を邪魔している。でも、一体誰が…?”

美雪を待ち受ける数々の“罠”をくぐり抜け、無事に結婚にたどり着くことが出来るのか-?


美雪は、ブライダルフェアで知り合い仲良くなった鈴木ゆりこを救うため、彼女がいるバーへと向かうが、そこで怪しげな男からキスされそうになった。

キスは未遂に終わったが、高貴のもとに、何者かからキスしているかのような写真が送られてきた。

結菜と藍と共に、調査を開始した美雪は、親友・凛香に対して疑惑を深めるが…?


親友はシロか、クロか


私はほんの一瞬だけ、凛香が私を嵌めようとバーで背後から写真を撮っている姿を想像した。

しかし「絶対にあり得ない」とすぐにその考えを打ち消して、凛香に直接確認するために、通話ボタンを押す。

トゥルルルルル…トゥルルルルル…

スマホを耳に押し当て、凛香が電話に出るのを待った。

はやる気持ちを抑えるため、無意識に呼び出し音を数えてしまう。6回、7回、8回…。でも、出ない。

凛香が電話になかなか出ないのは、今日が初めてではないし、仕事が忙しい可能性は十分にある。

だが、やはり何かがおかしいということに気が付き始めていた。

LINEをしても、返信が遅いのだ。普段は基本的には即レスだし、どんなに忙しくても、以前はその日のうちには返信があったのに。

結婚を機に、独身時代の友達と疎遠になる話はよく耳にするが、私と凛香に限っては「そんな風になるはずがない」という確信があったから、言いようのない悲しさと切なさに襲われてしまう。

私は通話を諦め、LINEを送った。考えに考えた末、『久しぶり。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、銀座にある、”エリニュス”っていうバー、知ってる?』と、シンプルに。



ようやく1通の返信があったのは、翌日の夜だった。

『久しぶり!そのバーのことは知らないよ~!返信遅くなってごめんね。部署の異動と、家の引っ越しが重なっちゃって。そうそう私、白金高輪に引っ越したの!美雪の家と近くなったから、遊びに来て~!』

いつもと変わらない親友のテンションに、肩の力が抜けていく。凛香の様子がどこかおかしいと思ったのは、単なる私の思い違いだったのかもしれない。

やはり彼女が犯人であるはずがないのだ。そのバーのことは知らない、という凛香の言葉を信じてみようと思った。

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