美しさを金で買った女は、幸せになれるのか?明日で最終話!「美しいひと」総集編

美人は不美人より、生涯で3億円の得をする。

まことしやかに囁かれる都市伝説だが、あながち嘘とは言い切れない。

美味しい食事や高価なプレゼントに恵まれる機会も、美人の方がやはり多いに違いない。就職活動にすら“顔採用”という言葉があり、結婚においても玉の輿にのる女性は美人である確率が高い。

では、不美人に生まれた女は、ただただ苦汁を舐めるほかないのだろうか。

…そんなのは、嫌だ。

これは“美しさ”を金で買い、人生を変えてやろうと目論んだ、とある女の物語。

「美しいひと」一挙に全話おさらい!

第1話:美人は生涯で3億の得をする。“美しさ”を金で買えば、女は幸せになれるのか?

重たい一重の瞼はどんなにアイプチで誤魔化しても、天然のくっきり二重が放つ目力には到底及ばない。睫毛だって短く、薄い。

鼻筋は一体どこに行った…?と尋ねたくなるぺちゃんこの鼻も、ずっとずっとコンプレックスで自信が持てず、私は年頃になるととにかく目立たぬことを願うようになった。

名は体を表すというが、生まれてからずっと「麗華」と呼ばれ続けてきたはずなのに、いつまでたっても麗しくも華やかにもならない自分を、私はとっくに諦めていた…はずだった。

晴れて第一志望の有名私大に合格し、地元・岡山から上京して、“あの人”に恋をするまでは。

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第2話:「すれ違う男という男が、私を振り返る」“美しさ”を金で買った女が実感した、外見至上主義の現実

もし私の容姿が過去のままだったら、受かっていなかったに違いないのだ。

内定者が初めて一同に会した日、私はそう確信した。なぜならそこには、もちろんレベルの差はあるにせよ、一人の例外もなく“美しい女”しかいなかったから。

「美咲さん」

帰りがけに声をかけてきた同期のひとりは、麗華が愛読している美容雑誌で見かけたことのある読者モデルだった。

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第3話:「あの子より、君のほうが綺麗だよ」ハイスペ男の甘い囁きが呼び起こした、私の中の“黒い感情”

例えば花音が気に入っているらしい俊介と会いたいがために、私をダシにして4人で会う機会を作ったとか。それで、私は引き立て役としてこの場に呼ばれた。そういうことだって、あり得なくもない。

卑屈な考えだと自分でも思うが、しかしこんな状況ではそうならざるを得ないだろう。私は「あと30分我慢したら帰ろう」と心に決めてお手洗いを出た。その時である。

「麗華ちゃん、大丈夫?」

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第4話:遊び慣れた男から一夜の誘い。「抱かれてもいい」と女に思わせた、彼の一言とは

昨夜『マデュロ』で落ち合うや否や、俊介は私をべた褒めした。

「とにかく顔が好み」
「ほんとーーーーに綺麗だよね」

彼は周りに聞こえるのも憚らず、歯の浮くようなセリフを堂々と口にする。そして瞳孔の開いた、熱を帯びた目でこちらを見つめる。そんな俊介に私は素直に気分を良くしたが、しかし彼の部屋にまでついていくことを決めたのはもっと別の、心をぐっと掴まれる理由があったからだ。

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第5話:整形美女が、初恋の男と偶然を装い再会。美しく変貌を遂げた女を見た、彼の反応は?

私は、“運命”を信じていた。20代半ばにもなって、と笑われるかもしれない。しかしずっと恋愛を知らぬまま生きてきたのだから、多分に夢見がちになってしまっても仕方がないだろう。

もしも、平塚くんに会うことができたら。美しい女として、平塚くんと再会できたら。

私たちは再び出会う運命にあったということ。勇気を振り絞り、声をかけると決めていた。

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第6話:「整形女のクセに」同僚の告げ口で、彼に整形がバレた。金で美を買った女を襲う修羅場

「気づいてないとでも思った?私もブティックの皆も、大人だから見て見ぬ振りしてあげてただけよ。偽物の顔で、ちょっと男にちやほやされたくらいで友達を裏切るなんて。調子に乗ってバカみたい…」
「やめろ、花音」

その時、思いがけないことが起きた。すぐそばまで来ていた俊介が私を守るように肩を抱き、刃のような花音の言葉を遮ったのだ。

「っていうかさ、整形して何が悪いの?」

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第7話:「整形までしたのに…」初恋の彼に2度目の失恋。歪んでいく、整形美女の純粋な思い

学生時代からずっと思い続けてきた人と(偶然を装って、ではあるが)再会を果たし、さらには(友人伝い&二人きりではないが)食事にまで誘われた。

あまりにも順調に事が進むものだから、私はそう信じて疑わなかったのだ。

それゆえ、考えようともしなかった。まさか、私の恋がまたしても“始まる前に終わる”運命にあっただなんて。

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第8話:「独りでいたくない…」本命の彼に失恋し、違う男に逃げた夜。女が心に抱く"ある打算”とは

ただ逃げただけ、なのかもしれない。しかしどんなに非難されようが、私はこの夜、どうしても一人になりたくなかった。一人になんてなったら、どうにかなってしまいそうだった。

行き場を失った思いをぶつけるようにして私は俊介を求め、そしてその最中、私は何度も自分に言い聞かせた。平塚くんを忘れることはできない。彼への恋心を消し去ることもできない。

けれども俊介とこうして何度も体を重ね、心を交わらせていれば…いつか上書きすることはできるはずだ、と。

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第9話:どうしてあんな普通の女が…?誰もが惚れるモテ男を射止めた“中の上の女”の正体とは

本来であれば、リラックスできる至福の時間のはず…しかし私の頭に浮かぶのは平塚くんの彼女、“岸さゆり”の顔だった。

あの日、花音が差し出した写真を見て、私は思わず「え?」と声をあげた。平塚くんほどの男が付き合う相手なのだから、どれほどの美人なのかと思っていた。

それなのに岸さゆりは、はっきり言って十人並みの“普通の女”だったのだ。

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第10話:「絶対に許せない...」大好きな男が二股されていた。彼を救うため、整形美女がとった行動とは

「ねえ。俊介はどうして、私を好きでいてくれるの?」

微睡みの余韻の中で、私はずっと聞きたかった質問を投げかけてみた。俊介の周りには、私なんかよりもずっと綺麗な女がうようよいる。それなのになぜ、彼は私にこだわるのか。ずっと不思議だったのだ。

私の問いかけに、俊介はさして興味もなさそうに「さあ、なんでだろ」ととぼけていたが、しばらく黙り込んだあとで、唸るような低い声を出した。

「…麗華、他にずっと好きな男がいるだろ?」

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第11話:「こんな彼、見たくなかった...」暴露された“不都合な真実”に、男がとった残酷な態度とは

私は今『マデュロ』で、平塚くんを待っている。約束は21時。あと2分ほどある。

今日、私は18時に仕事を終えた後、急いで自宅に戻った。シャワーを浴び、いちからメイクも髪も整え直すためだ。

平塚くんに会うのだから、全て抜かりなく。最も美しい状態に自分を仕上げておかなければ。

平塚くんに、綺麗だと思ってもらいたい。彼の瞳に、少しでも魅力的に映りたい。そんな風に願いながら身支度をする時間は、それだけで心が踊るものだった。

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第12話:凡庸だった女が、急に美しく見えたのはナゼ?整形やエステ以外で、女が急に輝きだす理由

電話口で聞こえた俊介の悲痛な叫び声と、別れ際「ありがとう」と言ってくれた平塚くんの笑顔が胸を深く刺し、私の目には自然と涙が溢れてくるのだった。

それからしばらくの間、私はただただ無気力な毎日を過ごした。日課にしていたスクワットや腹筋も、やる気が起こらない。週1のジムもエステの予約もキャンセルし、職場の銀座ブティックと家を往復するだけ。

恵美から呼び出しの連絡があったのは、そんな絶望を1ヶ月近く続けた、ある日のことだった。

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第13話:「アプローチしちゃおっかな♡」彼氏を狙ってくる女からの宣戦布告。その意外な結末とは

−もし恵美が平塚くんを好きなら応援するよ−

本当はそう言ってあげればよかったのだと思う。私はもう完全に平塚くんに失恋しているのだし、それに今、私の心を占領するのは、胸を締め付けるのは、平塚くんではない。俊介なのだ。

けれど…どうしても、咄嗟には言葉が出てこなかった。

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第14話:彼の好きな人ってまさか…?憧れ続けた男の心を奪い去った、“圏外女”の正体とは

「私ね…俊介も気づいていた通り、付き合っている間もずっと心の中に別の人がいた。けど、俊介と会えなくなってやっとわかったの。私が本当に好きなのは、そばにいてほしいのは俊介だって」

後ろを向いたままの背中に向けて、私は勢いのまま俊介に想いを伝えた。再び心が怯えてしまう前に。このタイミングを逃したら、今言わなければ、俊介ともう二度と会えなくなってしまう気がして。

−せっかく綺麗になったなら、自信持ちなさいよ−

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