田中 圭に2018年を振り返ってもらったら、思わぬ話の連続で、つい聞き耳を立てた。

2018年を象徴する俳優といえばこの人、田中 圭。

ドラマ「おっさんずラブ」でブレイクを果たし、2019年には映画「劇場版 おっさんずラブ(仮)」も決定。

この年末は、各メディアで見ない日はない、といった活躍ぶりだ。

そんな田中さんを、今回は港区の「グランド ハイアット 東京」のバー『MADURO』にお招きした。

港区らしい、艶やかな空気の中、大躍進を遂げた今年のこと、そして未来のことを語ってくれた。

■2018年の仕事について
“役者という肩書きでずっと勝負していきたい”


港区でもお馴染みの、そのバーに現れた田中 圭には、メディアを席巻する売れっ子の浮つきのようなものは微塵も感じられなかった。

「何も変わっちゃいないんです」

彼はソファに身を預け、淡々と言葉を吐いた。その様は、どことなく〝変わってなるものか〞と言っているようでもあった。

デビューして19年目。二番手、三番手の役を与えられることの多かった彼が、ドラマ『おっさんずラブ』では主役を張り、見事にブレイクした。


「この作品で認めてもらえなかったら、何をやっても無理だと思っていました」。

田中さんはそのように発言していたが、それだけ役者として〝賭けていた〞ということなのだろうか。その想いをぶつけると、彼はひと言ひと言を噛みしめるように語り始めた。

「ここ数年、芝居をしながら感じていました。現場で沸き上がる言葉こそがリアルなのだろうと。いわゆるアドリブと呼ばれるものですが、僕はずっと実践できずにいた。主役に対する遠慮もあったし、『アドリブなんかやっちゃって』と共演者に白けられるのも嫌だったから。

でも、座長を務めた『おっさんずラブ』では、勇気を出して反逆児になることにしたんです。そしたら、皆が受け入れてくれた。そこで掴んだ感覚を大切にして、これからもやっていきたい。僕は今、ようやくスタートラインに立ったような気がしています」


その口調は極めて冷静だった。『ぐるぐるナインティナイン』の「ゴチバトル」の新メンバーになるなど、活躍の場を広げてはいるものの、当の本人は役者としての足場を踏み固めなければという強い気持ちを抱いているようだ。

「応援してくださる人が増えるのはありがたいことですが、何をやっても格好いいと手放しで歓迎されるような〈人気者〉になることに興味はありません。

僕は役者です。この肩書きでずっと勝負していきたい。そのためには芝居で観客を裏切り続けていかないと。その境地に至れたことが、何にも勝る収穫だと思っています」

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