SPECIAL TALK Vol.50

~「どうなりたいか」ではなく「何ができるのか」。豊かな海を取り戻し、未来に引き継ぐために~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。産業競争力会議議員、規制改革会議委員、内閣官房IT本部本部員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める

社会の一人ひとりが役目を全うする意識を

金丸:内心では何か違うことをしたいと思いながら、会社勤めを続ける自分に葛藤を抱えている人はたくさんいると思います。かといって、会社を飛び出す勇気はない。そういう人たちを奮起させるようなメッセージを、最後にいただけないでしょうか? 坪内さんは何も知らなかった漁業という世界に、思い切って飛び込みましたよね。当然、リスクを考えていなかったわけじゃないと思うのですが。

坪内:そうですね。スタートこそ見切り発車でしたが、それ以降は常に石橋を叩いて、最短ルートで確実に進めてきたつもりです。

金丸:私と同じですね。私も周りからはかなり大胆に見られますが、ちゃんと石橋を叩いて、緻密に計算した上でやっているので。

坪内:私がいつも疑問に思うのは、私よりも優れた資質や経験のある人が「私には何もないから」って言うんですよね。「人と違うことはできない」とか「普通はそうじゃないから」とか、〝普通〞という概念を自分で勝手に決めている。彼らの言う〝普通〞というのは、本当は〝理想〞なんですけど。

金丸:なるほど。いきなり理想にたどり着くなんて不可能なのに、最初からそこを目指すから、一歩が踏み出せない。

坪内:そうです。でも「これって、もう少しこうしたほうがいいんじゃない」とか「これって、こうあるべきだよね」「こうあったらいいのに」と感じることは、日々の生活のなかでもたくさんありますよね。そう感じるのは、その人の特権というか、その人に与えられた役目だったり、長けたアンテナだと思うんです。

金丸:その見方は面白いですね。もっとよくしたり、新しいものを生み出したりする視点を、誰もが持っていると。

坪内:ええ。だから「普通はそうじゃないから」と否定せず、自分がそうしたいと思うなら、何らかのアクションを起こしてほしい。自分たちが世の中を担うとか、何かを役目を全うするという意識を持たないと、特に「地方創生」なんて絶対にできません。

金丸:おっしゃる通りです。大事なのは、「誰かがやってくれる」ではなく、できることでいいから「自分がやろう」とすること。とにかく最初の一歩を踏み出してほしいです。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。

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