想定外妊娠 Vol.6

想定外妊娠:「2人目は、まだ?」結婚生活に苦しむ既婚女の、未婚女子への嫉妬心と“親友”の仮面

「結婚なんかしない」

そう、言い張っていた。

今の生活を手放すなんて考えられない。自由で気まぐれな独身貴族、それでいいと思っていた。

仕事が何より大事だと自分に言い聞かせ、次々にキャリア戦線を離脱してゆく女たちを尻目に、私はただひたすら一人で生きてゆくことを決意していたのに−。


”想定外妊娠”に戸惑っていたのもつかの間、千華ははじめてのエコーで心を揺さぶられ、たとえ独身だろうと産む決意を固める。

元カレ・ショーンとすれ違い続けていた千華は、授賞式で憧れの先輩から言われた一言をきっかけに、自分の本心に気づいた。

その夜、ついにショーンとお互いの気持ちを確かめ合うが、そんな2人を祝福できない女がいた。


親友・舞子の本心


「舞子。私、妊娠した。」

千華からそう告げられた夜、私の感情の大部分を”怒りと嫉妬”が占めていた。

―なんで、千華なの…。

けれど、この本心を千華に悟られてはいけないと平静を装い、混乱する彼女をひたすら励ましたのだ。

それが私にとっては拷問のように辛いことなのだと、千華は知らない。



「千華…本当に、ショーンと結婚するの?」

その日、私は千華に呼び出され、会社に近い、恵比寿『ゴッサムグリル』でランチをしていた。

「うーん、プロポーズされたわけではないけど…。ヨリは戻した、かな。」

一度はすれ違った2人だったが、結局電話越しにショーンは「愛している。」と宣言したそうだ。

私は、少し前まであれほど頑なに「結婚したくない!」と宣言していた千華の変わりように驚いていた。

「それにね、例の産休から復帰した先輩にも、いろいろアドバイスを貰ったわ。」

前はあんなに「失望した」と嘆いていた先輩のことも、今ではずいぶん嬉しそうに話している。

あからさまに眉根を寄せる私のことなんて、少しも気にしない千華に苛立ちを隠せない。

「そう、よかったわね。」

―なんて心の狭い人間なのだろう、私は。

親友の吉報を、私は一つも祝福していない。自分の心を真っ黒な感情が覆っていくのを止めることはできなかった。

自由で気まぐれな独身貴族が、「妊娠した」なんて図々しいにも程がある。

それは、私が手にすることの出来ない幸せの象徴だったのに。

―妊娠なんか、望んでもいなかったくせに。

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