美しいひと Vol.5

整形美女が、初恋の男と偶然を装い再会。美しく変貌を遂げた女を見た、彼の反応は?

美人は不美人より、生涯で3億円の得をする。

まことしやかに囁かれる都市伝説だが、あながち嘘とは言い切れない。美味しい食事や高価なプレゼントに恵まれる機会も、美人の方がやはり多いに違いない。

麗しくも華やかでもない自身の容姿にコンプレックスを抱いていた美咲麗華は、大学時代に学年一のモテ男・平塚勇太に恋をし、あっさり失恋したことで、ある決意をする。

−“美しさ”を金で買い、人生を変えてやる−

整形で “美人”の仲間入りを果たした麗華。すると途端にちやほやされるようになるが、同時に心は少しずつ屈折していくのだった。

そんな折、麗華は平塚くんの近況を耳にする


これは私にとって、賭けのようなものだった。

恵美を問い詰め、平塚くんが司会を担当するのだという式典の日時と会場を聞き出しはしたものの、もちろん私は関係者でもないし、中に入ることなどできない。

しかしながら会場が偶然にも銀座で、しかも私の働く銀座ブティックから徒歩数分の場所だと聞いて、勝手に巡り合わせのようなものを感じたのだ。

恵美からの情報によると式典開始は16時だが、平塚くんは朝から会場入りをして、登壇者との顔合わせや最終リハーサルをしていると言う。

偶然、会えるかもしれない。根拠などないが、直感でそう思った。

式典の日、私は遅番で14時に出勤すれば良い。少し早めに家を出て会場近くで張っていれば、例えばお昼休憩などで外に出てきた平塚くんと鉢合わせする可能性があるかもしれない。

しかも職場の近くなのだから、私がそこにいること自体に不自然な点はないのだ。

私は、“運命”を信じていた。

20代半ばにもなって、と笑われるかもしれない。しかしずっと恋愛を知らぬまま生きてきたのだから、多分に夢見がちになってしまっても仕方がないだろう。

もしも、平塚くんに会うことができたら。

美しい女として、平塚くんと再会できたら。

私たちは再び出会う運命にあったということ。勇気を振り絞り、声をかけると決めていた。

【美しいひと】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo