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  • 私、“彼好み”になれない Vol.4

    アラサー女の大逆転。“彼好み”に合わせるばかりだった凡庸な女が、ハイスペ紳士を射止めるまで

    女なら、経験のある方も多いだろう。

    恋人にファッションをダメ出しされ、“俺好み”を強要されてしまうこと。そして愛されたいと願うあまり、自分の趣味を押し殺してしまうこと。

    総合商社勤務の芽衣(31歳)もまさに今、葛藤を抱えている。

    −私、“彼好み”になれない。−

    食事会で出会った経営者・長谷川に気に入られた芽衣だが、初デートで服装をダメ出しされ、凡庸な女子アナ風ファッションを強要される

    ところが服装も行動も彼好みに合わせていたのに、彼の部屋で疑いの形跡を発見

    さらには仕事でチャレンジをすることまで否定され、ようやく目を覚ました芽衣は長谷川と断絶

    すると早々に、新しい出会いが…!


    「もう、誰にも遠慮しない」


    玄関横に置いた姿見の前で、芽衣は機嫌よく、くるりと回った。

    YOOX(ユークス)でオーダーしていたアイテムが、この週末にさっそく届いたのだ。

    シンプルながら、美しいシルエットがインポートらしいLANVINのワンピースと、セルジオ・ロッシのパンプス。

    週明けの仕事には、この組み合わせで行こうと心に決めていた。

    「うん、やっぱ似合うっ」

    浮かれた独り言が、思わず声に出てしまう。

    好みの服を身に纏うときの高揚は、女にとって恋にも勝るときめきの瞬間なのだ。

    −俺の好きな服を着て欲しいな。

    鏡に映る自分を見つめて、「かつて、そんな野暮なことを言ってきた男がいたな」などと考えながら、芽衣は遠い目をした。

    長谷川は、仕事へのスタンスやビジネスセンスなど、尊敬できるところのある男だった。

    しかし独りよがりに“俺好み”を強要する、その傲慢さだけはどうしても受け容れられない。いや、受け容れてはいけないと思った。

    「私はもう、誰にも遠慮しない」

    芽衣は自分に言い聞かせるようにしてそう小さく呟くと、勢いよく玄関ドアを開ける。

    そして背筋を伸ばし、清々しい思いで駅までの道を歩きながら、芽衣は心の中で、ある覚悟を決めていた。

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