恋と友情のあいだで 〜里奈 Ver.〜 Vol.16

夫はなぜ、他の男と寝た妻を許したのか?ハイスペ男を魅了する、年下妻のしたたかな情愛

―あの頃の二人を、君はまだ覚えてる...?

誰もが羨む生活、裕福な恋人。不満なんて何もない。

でもー。

幸せに生きてるはずなのに、私の心の奥には、青春時代を共に過ごした同級生・廉が常に眠っていた。

人ごみに流され、都会に染まりながらも、力強く、そして少し不器用に人生を歩む美貌の女・里奈。

運命の悪戯が、二人の人生を交差させる。これは、女サイドを描いたストーリー。

7つ年上の直哉との結婚した里奈はサークルの同窓会で再会した廉と結ばれてしまう

二人の関係は直哉に勘づかれ、さらに廉の妻・美月からも脅迫電話が鳴る。そして廉との別れを決意した里奈は、ついに直哉の子を身篭った


自分の中にひとつの命が誕生するというのは、不思議な感覚だった。

朝起きた時に軽い吐き気や怠さは感じるものの、巷でよく聞く酷い悪阻や体調不良はほとんどなく、突然体型が変わるわけでもない。

だからハッキリと「妊娠した」という実感が湧いた訳ではないが、これは女の本能とでも言えるのか、私は何となく穏やかで優しい気持ちに包まれるようになった。

との別れ以来、特別楽しいこともなければ、悲しいことも辛いこともない、平和で退屈な日々を過ごしていた。

大袈裟に聞こえるかもしれないが、「心にぽっかり穴が空いた」というのは、まさにこんな状態だと感じる。

自分が何のために同じ毎日を繰り返し過ごしているのか分からず、鈍い胸の痛みが消えることもなかった。

しかし妊娠が分かったとき、私はようやく存在意義のようなものを与えられた気がしたのだ。

不貞を働き、子どもを持つことに強い情熱を持っていたとは言えない女が、真っ当な幸せに浸るなんて不謹慎だと自分でも思う。

でも、だからこそ私は自分を救ってくれたこの小さな命に感謝し、できる限り良き母親になろうと心に誓った。

そして私は、この妊娠によって、廉へのわずかな期待や執着をようやく手放すことができたのだった。

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