2018.09.13
美しいひと Vol.1美を金で買った女
(2年後)
「麗華はやっぱり、ブランド業界が第一希望?」
「ブランド業界っていうか、外資系のジュエリーブランドね。他業界も一応受けるけど心は決まってるかな」
大学3年になると、私たちの関心ごとは“就活”一色となった。
この日、唯一の友達である恵美とゼミの後に立ち寄った『TOKYO CIRCUS CAFE』での会話も、そのほとんどが就活の情報交換。
出版業界を目指すつもりだという恵美の話に耳を傾け、お互い一通りの近況報告を終える。そうして会話が途切れたのを見計らうと、私はそっとバッグの中から“ある物”を取り出し、恵美の前に差し出した。
「恵美、見て。この間、伊勢丹写真館で撮ってもらった証明写真が出来上がったの。これ、データ見本なんだけど」
私から上質な光沢紙を受け取ると、恵美はそれを食い入るようにまじまじと見つめる。そして漏らすように「すごい、綺麗」と呟いた。
素直な恵美の反応に気を良くした私は、
「さすが伊勢丹写真館。盛れてるよね(笑)」
と、一応の謙遜をしてみたが、実際そこに映る私は間違いなく自分史上最高に美しいのだ。
それもそのはず。
私はこの年の初め、ついにプチ整形に手を出した。埋没法で、ぱっちり二重の瞳を手に入れたのだ。
その成果は、想像以上のものだった。単純に目が大きくなったというだけではない。
それまで自分の顔を見るのが楽しいなどと思ったこともなかったが、暇さえあれば鏡を取り出し、うっとりと眺めてしまう。
最低限の身だしなみ程度だった化粧も、美容雑誌を買い漁っては研究するようになり、眉の形を変え、アイラインの入れ方を変え、マスカラを変えては試行錯誤を繰り返した。
そういえば、プチ整形の際、クリニックの先生が言っていた。
「美人も不美人も、パーツ配置が数ミリ違うだけなのだ」と。
実際、瞼が数ミリ上がっただけで表情がぐっと垢抜けたし、眉の位置を数ミリ目に近づけただけで、のっぺりした私の顔もいくらか彫りが深く見える。
二重瞼のプチ整形が落ち着いた後、私はさらにレーザーでそばかす&ほくろの除去にも手を出したが、施術後のダウンタイムが終了すると、見違えるほど肌が白く輝いて見えて驚いた。
−“美しい女”になって、人生を変えてみせる−
平塚勇太に失恋をしたあの日。私はそう誓った。
美人は不美人より、生涯で3億円の得をするという。
それは素敵な男性に選ばれる、男性から優遇されるということももちろんだし、就職にだって明らかに“顔採用”は存在する。
私が目指しているブランド業界だって、圧倒的に美人が多いのだ。それがまさか、偶然であるわけがない。
地味で垢抜けなかった過去の私は、消滅した。
私はこれから“美しい女”として憧れの外資系ジュエリーブランドに入り、キラキラと輝く人生を謳歌する。
そして…平塚勇太を振り向かせてみせる。いつか、必ず。
私は恵美から返してもらった自分の写真を再びうっとりと見つめ、決意を新たにするのだった。
▶NEXT:9月20日 木曜更新予定
“美しい女”となり、社会人デビューした麗華。やはり美人は、無敵だった。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
この記事で紹介したお店
トウキョウサーカスカフェ
美人は得をしやすいのは本当だと思います。そりゃキレイな人と一緒にいたいだろうから。
でもそれ以上に、卑屈にならず明るくニコニコしてる人が一番!と生きてきた中ではそう思います。
【美しいひと】の記事一覧
2018.12.20
Vol.16
「美人が好き」な男の本音。彼女が整形だと知っても、ハイスペ男の気持ちが変わらなかった理由とは?
2018.12.19
Vol.15
愛する男と別れ、政略結婚を受け容れた女…地方の名家に生まれた令嬢の、複雑な心中とは
2018.12.13
Vol.14
彼の好きな人ってまさか…?憧れ続けた男の心を奪い去った、“圏外女”の正体とは
2018.12.06
Vol.13
「アプローチしちゃおっかな♡」彼氏を狙ってくる女からの宣戦布告。その意外な結末とは
2018.11.29
Vol.12
凡庸だった女が、急に美しく見えたのはナゼ?整形やエステ以外で、女が急に輝きだす理由
2018.11.22
Vol.11
「こんな彼、見たくなかった...」暴露された“不都合な真実”に、男がとった残酷な態度とは
2018.11.15
Vol.10
「絶対に許せない...」大好きな男が二股されていた。彼を救うため、整形美女がとった行動とは
2018.11.08
Vol.9
どうしてあんな普通の女が…?誰もが惚れるモテ男を射止めた“中の上の女”の正体とは
2018.11.01
Vol.8
「独りでいたくない…」本命の彼に失恋し、違う男に逃げた夜。女が心に抱く"ある打算”とは
2018.10.25
Vol.7
「整形までしたのに…」初恋の彼に2度目の失恋。歪んでいく、整形美女の純粋な思い
おすすめ記事
2017.07.01
東カレ的デートプラン
東カレ的デートプラン:広尾駅から近いのに、あえてのタクシーでドキドキ感を2度も演出?
- PR
2024.03.28
「運転中、彼の●●なところにキュン!?」ドライブデートに関する東カレ女子の赤裸々な本音
2021.08.20
盛りラブ
盛りラブ:交際は最長3ヶ月。破局ばかりの短命女子が、運命の人とZoomで初対面!?
2021.12.13
シアワセの最適解~世帯年収3,600万の夫婦~
120平米超え豪華マンションで優雅に暮らす女。それでも幸せを感じられないって、どうかしてる…
- PR
2024.03.27
海外セレブの間で「テキーラで乾杯」が流行中!お祝いの席にぴったりな、ラグジュアリーテキーラとは
- PR
2024.03.26
GWの予定はもう決めた?北海道&沖縄で絶大に支持されるリゾートホテル4選
2017.01.24
マリエ・ストーリーズ
二度と会うこともない女の嫉妬。元同僚は、マリエ・ストーリーズのクリックの餌食に
2024.02.14
春の風に吹かれて
「自然消滅狙われてる?」バレンタイン当日。27歳女が彼氏に連絡したら、ありえない答えが返ってきて
2020.08.16
スパイシー・デイズ
「毎日連絡来るのに、ナニもない…」28歳女が、男との曖昧な関係から脱出できた訳
2019.05.31
家族ぐるみ
“家族ぐるみ”は悪夢のはじまり。夫の友人家族との、いびつな友情の幕開け
東京カレンダーショッピング
『秋田かまくらミート』:秋田を代表するブランド牛「秋田由利牛」!サシの美しい上質なしゃぶしゃぶ用サーロイン
『肉のABCフーズ』:黒トリュフ塩付!牛タン&A5ランク黒毛和牛を使った極上ハンバーグ
『パンツェロッティ』:具材ごろごろボリューミー!フレッシュな野菜と肉感満載のフライドピッツァ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"
『レザンファンギャテ』:しっとりと濃厚で、コクのあるニューヨークスタイルのチーズケーキ
『ル・ボヌール 芦屋』:しっとりサクサク!フリーズドライ苺にホワイトチョコをたっぷりと浸透させた新感覚スイーツ
ロングヒット記事
2024.03.18
「そういうとこ」で振られる男
「元カノと復縁できるかも」と喜ぶ34歳男。タイ料理店でデート中、彼女の表情が曇り…
2024.03.19
Editor's Choice~fashion~
感度の高いイマドキ女子から大人気!モネ“睡蓮の池に架かる橋”がフェイラーのキュートなハンカチに
- PR
2024.03.21
Editor's Choice~beauty & wellness~ 特別編
仕事もプライベートも充実している人ほど、〇〇投資している!?当たり前すぎて意外な生活習慣とは
2024.03.22
大人の週末ToDoリスト
長澤まさみ出演の映画や、バンクシーの展示…今週末いくべきイベント3選
2024.03.24
Editor's Choice~hotel~
シャンパンのフリーフローをテラスで堪能!渋谷の最新ホテルで叶う華やかな女子会
この記事へのコメント