2018.07.19
今さら聞けないワインの基礎知識 Vol.14柳「そう。ほら、戦国時代に信長や秀吉が揃って茶の湯に興じて、高価な茶道具を自慢しあったでしょ。あれに近いんじゃないかな。」
――マウンティングに使われるんですね。
柳「すでに一定の地位を築いた港区おじさんは、これから活躍が期待され若手起業家に高価なワインを贈ったりしてるようだから、信長が秀吉に乙女前という釜を贈ったり、長男の信忠に松花という茶器を贈ったりした行為とよく似てるよ」
ワイン通が蘊蓄好きなのは高い値段を正当化するため
――それではどうしてワイン通の港区おじさんは蘊蓄好きなのでしょう?
柳「これは想像でしかないんだけど、蘊蓄による付加価値を求めてるんじゃないのかな?」
――と、言いますと?
柳「DRCのリシュブールならまだしも、コシュ・デュリのコルトン・シャルルマーニュとか、ヴォギュエのシャンボール・ミュジニー・レザムルーズになると、どうしてそのワインがべらぼうに高いのか、わかる人は少ないよね。」
――私にもさっぱり。カタカナだらけで、何かのおまじないかと思いましたが、ワインの名前なんですね?
柳「まさにそこよ、そこ。例えば僕が港区おじさんで、お店で一本20万円するようなそうしたワインをクラリンに飲ませてあげても、生産者の違いに気づかなければ、
「あら、コルトン・シャルルマーニュならこないだも飲ませてもらったわ。あれは3万円しかしなかったわね」で済んでしまうかもしれない。
実際、造り手によってはその程度の値段で飲めるコルトン・シャルルマーニュもあるからね。だからコシュ・デュリとは誰ぞやという蘊蓄で、武装することが必要になるわけさ。」
――なるほど。よくわかりました。ワインのバックグラウンドや、その価値が理解できたら、ご馳走してくれた相手にとって私がどんな存在であるかも、知ることになるんですね…。
でも正しい知識があれば、何も知らないより美味しく感じられる気がします。それでは、今、港区おじさんのワイン通魂を揺さぶるようなワインというと?
柳「テロワール・アル・リミットの「レス・トッセス」だね。スペイン新時代を象徴するワインで、樹齢105年のブドウから造られている。生産量はたったの1200本。ワイン通が喉手で欲しがる超レアものさ。」
――きゃ〜、1200本!柳さん、担当就任祝いに飲ませてください!
柳「ぎくっ!ぼ、僕は港区おじさんじゃないからさ、じゃあ、また。」
たとえば、こんな1本
「レス・トッセス 2014 テロワール・アル・リミット」
カタルーニャ地方の銘醸地プリオラートで、珠玉のワインを生み出すドミニク・フーバー。レス・トッセスは標高600m、平均樹齢75年のカリニャン。90年代のブーム時に見られた重く濃厚な味わいとは一線を画す、ブルゴーニュにも勝る官能美。
¥40,000/(有)ワイナリー和泉屋 TEL:03-3963-3217
教えてくれたのは、柳 忠之さん
■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える
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