東京が誇る最高峰の和食とはまさにこれ!新橋を代表する名店は訪れるだけで人生観が変わる!

新橋は和食の聖地と言っても過言ではない。今回紹介する『星野』は、まさにその代表格である。

なぜ、人は和食に魅せられるのか? その答えは星野氏の飽くなき探究心にあった。


料理人の進歩を定点観測する喜び。通うほどに魅了され、また次も、と約束する
『新ばし 星野』

新橋から銀座近辺にかけて、あの『京味』出身者の店が点在している。新橋『笹田』、東銀座『井雪』、新富町『味ひろ』。そして、ここ『星野』もまた新橋にある。

共通しているのは、オープン直後から(宣伝をしていないにもかかわらず)、大変な人気店になってしまうこと。

『星野』も然りで、それというのも、おそらくは、端から『京味』時代の常連さんがこぞって訪れるからに他ならない。

今年8月に同じ新橋に移転する予定で、現在の店舗はすでに予約を終了。少し広くなり、8席ほどの席を設ける。手の届く範囲で、最高のものを届けたいという

ご主人の星野芳明さんは現在37歳。専門学校で学んだ後、縁あって入った『京味』で12年間みっちりと修業。独立して早くも丸6年を迎えた。月毎に変わるお任せのコースには、毎回星野さんなりのミッションが潜んでいる。

ある時は冬の蕪蒸しの餡のほどあいだったり、或いは夏の鮎の塩焼きの焼き方、焼き加減だったりと、そこには、それまで学んできたことをただなぞるだけではない、星野さんならではの視点がある。様々な試みから生みだされた料理だけが供されるのだ。

例えば、4月の献立のテーマは旬の筍。京都塚原産の筍を、皮付きのまま丸ごと直焼きにした一品は、まさにコースのメインと呼ぶにふさわしい逸品だ。が、これとても、現在の形に落ち着くまでに、かなりの紆余曲折があったという。

4月のコースのお椀は「鮎魚女の葛叩きのお椀」。北海道産利尻昆布と鹿児島枕崎の本枯節でとる一番出汁ははんなりとした旨さ。コースは¥30,000から

「去年までは茹でてから焼いたり、蒸してから焼いたりといろいろ試していました。アクがどうしても気になっていたんです。でも、今年になって以前よりもずっと質が良く、アクも少ない筍を入手できるようになったので、思い切って生から直焼きしてみました。その方がやっぱり一番美味しいですからね」の言葉通り。

真っ黒に焦げた皮の中から取り出された筍は、香り高く、かぶりつけば春の息吹さながらのみずみずしさ!甘やかな汁が口中に滴り落ちていく。

また、お椀に用いる一番出汁の取り方も『京味』のそれとは大きく異なっている。聞けば「かなりの弱火で昆布を一時間ほど煮出す」そうで、奇しくもそれは、(化学的にデータ化された)昆布のグルタミン酸を最も良く抽出できる温度と時間に一致している。

このように、素材と向き合いつつ、常にそれでいいのか、なぜそうするのかを自問自答する。

そこに料理人としての進歩があり、それを定点観測する醍醐味こそ美食家の本懐ではないだろうか。

Photos/Ryoma Yagi, Text/Keiko Moriwaki

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