隣のスーパーウーマン Vol.7

己の利益のために、不正会計を企てた首謀者の悲しき末路。罪を犯した女に残された、2つの選択肢とは?

問題児ばかりが集う閉塞的なオフィスに、ある日突然見知らぬ美女が現れたー。

女派閥の争いにより壊滅的な状況に直面した部署に参上した、謎だらけのゴージャスな女・経澤理佐。

理佐は、崩壊寸前の部署の救世主となるのか?


「墓場」と呼ばれる部署に、ミステリアスな女・理佐がやってきた。

派手で超美人な彼女は、お局女性陣・おつぼねーずから早速目の敵にされ、ウェルカム洗礼を受けながらも、直接対決では優勢に立ち反撃のすきを与えなかった。

そんな中、営業部にはびこる不正が発覚する。ついに理佐は、広岡鈴香を連行し、驚くべき不正の理由を目の当たりにしたのだった。


「お取込み中、失礼致します!今すぐ時間を下さい!今すぐ!」

理佐は物凄いスピードで経理室に駆け込み、切羽詰まった様子で部長と課長に迫る。

おつぼねーずもその剣幕に肩をビクリとさせ、目を真ん丸にしている。

理佐の迫真の演技に、春菜までが呆気にとられていた。

普段大人しい人のギャップによる迫力。普段のおしとやかな振舞いこそ、こういう時の為の演技ではないかと疑うほどである。

理佐は深刻な表情を崩さぬまま、キッパリとこう言った。

「これから皆さんに重大なお話があります。…この会社で、経費の不正使用が発覚しました。」

「…えっ!?」

経理室内がざわざわとし、困惑する一同に向かって、理佐は事の経緯を静かに語り始めた。

それは、経費精算の不正が、営業部・広岡鈴香の出張費申請から発覚したという事実である。

春菜は理佐の声を遠くに聞きながら、彼女と共に広岡鈴香から真実を聞き出した”密会”を、思い返していた。

それは、2日前のことであった。



経費精算の不正は、営業部の先輩社員による指示だったー。涙ながらに理由を語った鈴香に向かって、理佐は落ち着いた口ぶりで語りかける。

「…さてあとは、この話をどのように収拾つけるかです。広岡さん、あなたのお気持ちを私は尊重したいと思っております。」

理佐はスッと長い指を2本出し、鈴香に突きつけた。

「あなたには、今2つの選択肢があります。」

その言葉に春菜は、イソップ物語の金の斧・銀の斧の話を思い浮かべる。

「1つ目の選択肢は、経理部から営業部の不正を公にする方法。もう1つは広岡さん、あなたがコンプライアンス委員に駆け込むという方法です。」

前者だと営業部全体に、何らかの罰が下されるだろう。その際、鈴香にも同様に罰が下されることは明らかである。

後者だと、鈴香がコンプライアンス委員に話をする際、彼女の意志ではなかったということも併せて話すことができる。うまくいけば、大目に見てもらえるかもしれない。

会議室は長い静寂に包まれている。鈴香はずっと俯いているが、見かねた理佐が口を開いた。

「すぐにお返事が難しそうであれば…」

「いえ、私の心は決まっています。」

鈴香は顔を上げ、凛とした姿勢で声を発した。

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