SPECIAL TALK Vol.44

~自分が心から欲しいと思ったからこそ、強いサービスを作り上げることができた~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。規制改革推進会議議長代理、未来投資会議構成員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

ひとりじゃなくチームで戦うから挑戦できることがある

金丸:さて、ニューズピックスのお話も聞かせてください。ユーザー数はどれくらいですか?

梅田:今年2月に300万人を超えました。そのうち有料会員は6万人を占めています。業績も順調に伸びていて、今年に入って有料課金収入と広告収入が、当初考えていた理想のバランスになってきました。

金丸:国内のニュースメディアでも、存在感を増していますよね。

梅田:これも最初の立ち上げの際、堀江貴文さんに使っていただいたのが大きいです。

金丸:堀江さんとは、どうやって知り合いに?

梅田:それがメールです。ニューズピックスは、ニュースに対していろいろな立場の人がコメントしてくれることに価値があります。だから誰がコメントするかで勝負が決まる。まず頭に浮かんだのが、堀江さんでした。何の面識もなかったので、メールを打ちツイッターで絡んだんですけど、とにかく無視されまして(笑)。でも3回目のメールを送ったとき、「今から来られる?」と突然ホテルに呼ばれました。ロビーでニューズピックスの構想を説明し、モックアップを見ていただくと、「いいね。俺もこういうの欲しいと思ってたんだよ」と。

金丸:あきらめずにコンタクトして、よかったですね。

梅田:はい、本当によかったです。

金丸:起業家のように成功体験のある人は、面白そうだなと思えば返事をしてくれると思いますよ。常にアンテナを張っていますからね。

梅田:もしあのとき、金丸さんにメールしていたら、返信していただけましたか?

金丸:もちろんしたと思います。

梅田:ああ、しておけばよかった(笑)。

金丸:ところで、アメリカでの手応えはどうですか?

梅田:日本にいると、アメリカはすごく競争が激しいように見えますが、そんなことはない、というのが実感です。圧倒的な差というのはまったくありません。日本のスタートアップも十分戦えると思います。

金丸:自信をもってどんどん進出すべきだと?

梅田:そうですね。自分たちで勝手にハードルを上げて、海外に進出するのを足踏みしているように感じます。「アメリカは違う」とあまり意識しないほうがいい。僕も最初の頃は、アメリカ流に合わせなきゃいけないと思っていましたが、オペレーションがうまくいかず、途中で日本のやり方に切り替えたらスムーズに回るようになりました。

金丸:社長の自分が日本を離れることに、不安はありませんでしたか?

梅田:ありませんでしたね。それができるのも、共同経営で社長が2人いるからだと思います。もともとは僕と新野が社長でしたが、昨年新野が体調を崩してしまい、今はじっくり療養しながら働いています。それに伴って体制を見直し、昨年11月から僕と稲垣が社長を務めています。ほかのスタートアップの仲間を見ていても、社長がひとりだと、ひとりに大きな負担がかかりますが、僕たちは分担できるので、僕はアメリカに集中し、日本は稲垣や新野に任せられる。これは本当に幸せだし、恵まれていると感じます。

金丸:熱中できるものがなかなか見つからず、人生ずっと〝ティア2〞とおっしゃっていた梅田さんが、ここまで成功できたのは、自分が本当に欲しいものを世の中に生み出そうとしたから。そして、稲垣さんや新野さんという運命的な仲間に恵まれたからなのでしょうね。

梅田:そうですね。ティア2だったから、自分の限界を思い知ることができました。常に自分へのもどかしさはあるけれど、とはいえ、夢は大きいじゃないですか。なんとかしようとすると、仲間を集めるしかない。最後はいかにタレントを集めるかで、勝負は決まります。もし自分ひとりで何でもできてしまっていたら、今の素晴らしいチームは作れなかった。大切なのは、チームプレーだと思います。

金丸:梅田さんの挑戦は、若い人に勇気を与えるはずです。私も応援しています。今日は本当にありがとうございました。

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