通な人はもっている 5.住宅街の粋なすし処 Vol.2

スシナンバ

鮨 なんば

"手仕事の妙"が食べ手の心を魅了する

左.手前から神奈川・子安の穴子、片面は弱火、もう片面は強火で焼き上げたこだわりの玉子、愛知・三河で獲れた小鰭。写真はすべて¥10,500のコースから

右.春子。「昔は酢で〆るのがスタンダードだったが、魚を生かすためには昆布で香り付けするのがよい」と店主

独特な文化が根付く中央線沿線。『鮨なんば』の店主・難波英史氏がこの場所に惹かれるのは、仕事においても生き方においても“素であること”を大切に思う気持ちと、土地が持つ自然体な雰囲気がどこか似ているからかもしれない。

20歳で鮨職人の道に入ってから脇目もふらずがむしゃらに走ってきた難波氏が、独立の場所に選んだのは杉並区・荻窪だった。「もともと都心には、あまり興味がなかったんです。地に足をつけて仕事をするという意味では、ここが自分に向いていたのかな」

昨年6月に荻窪から阿佐谷へ移転した際、気持ちを一新、仕入れも再度見直したという難波氏がネタ同様に心を砕くのはシャリ。「鮨はシャリが8割」という言葉通り、旨みが凝縮された低温熟成のコシヒカリを使用し、1日3回に分けて炊き上げる。夏は酢を強く、冬は逆に柔らかく。試行錯誤を重ねてきたからこそ、今がある。軽やかに握られる鮨は口のなかではらりとほぐれ、食べ手の舌に幸福な余韻を残してすっと消える。それは、旬魚の儚さにも似て。

店主の思いがあればこそ、食べ手も素のままに鮨と向き合える。その相乗効果を得ながら『鮨なんば』は、躍動するのだろう。


東カレアプリダウンロードはこちら >

【通な人はもっている 5.住宅街の粋なすし処】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ