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  • バツイチ男の恋愛事情 Vol.3

    バツイチ男の恋愛事情:「今夜は帰りたくない」。耳元で囁いてきた女との、一番長い夜

    東京には、結婚したことを後悔する者はいても、離婚したことを後悔する者はいない。

    3組にひと組が離婚すると言われている現代。

    すなわち、バツイチ人口が増えているということでもある。

    それに伴ってか、「バツイチはモテる」と囁く男女は多いが、果たしてその実態とは?

    1年前からバツイチとなった藤本直人(42歳)。彼の私生活に迫り、バツイチ男の恋愛事情をお届けしよう。

    前回は、昔好きだった女性から突然ホテルのバーに呼ばれて、ある後悔を抱えてしまった。今回は…?


    「すごーい!ねぇ藤本さん、お料理と一緒に写真撮ってもらって良いですか?」

    アンから上目遣いで言われて、藤本は彼女のスマホを受け取った。

    藤本がアンにスマホを向けると、彼女はとびきりの笑顔になる。アンがお皿の向きや角度を変える度、藤本は数枚ずつ写真に収めた。

    「はい、見てみて」

    藤本がスマホを差し出すと、アンは長い爪でカタカタと音をたてながらスマホ画面をスワイプして、満足そうな顔をした。

    アンは美容系の会社で働きながら、インスタグラムで1万人以上のフォロワーを抱えている28歳。藤本より14歳も年下だ。

    「藤本さんのレストラン選びってたまにハズレもあるけど、今日のセレクトは合格ですね♡」

    悪びれることなく、そんな生意気なことを平気で言ってくる。

    藤本はこれまで、こんなに年下の女性は相手にしないし興味もなかった。だが、共通の友人を介して知り合ったアンだけは、なぜか特別だった。

    仕事の愚痴を聞いたりして、まるで妹のように思っている。それはアンだって同じだと思っていた。

    恋愛対象ではなくても、年上で相談相手になるような男。

    きっとそんな男を、アンは常に数人キープしているのだろうと、なんとなく思っていただけに、この夜に起こった出来事は、藤本をひどく困惑させたのだった。

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