今さら聞けないワインの基礎知識 Vol.8

フランスから日本への年間シャンパン出荷量は、30年で400万→1000万本!さてこの数字、世界で何位?

――プレステージキュヴェってドンペリニヨンやクリスタル、それにベル・エポックなどですよね?

柳「そのとおり。もちろん、背景には銀座や六本木のナイトマーケットという、日本ならではの特殊事情もあるけどね。」

――あれ? 中国は?

柳「中国は19位だったかな。ただし、香港を加えると、スウェーデンを追い越しトップ10の仲間入り。でも、ボルドーワインでそうなように、中国が近い将来、世界のシャンパン市場を掻き回す存在になるかといえば、そうはならないと思う。

――なぜですか?

柳「医食同源の中国では、冷たい食べ物や飲み物を健康上忌避する傾向が強いから。なので、室温で提供される赤ワインは好んで飲まれるけど、冷やして飲む白ワインやシャンパンの人気はそれほど高くないんだ。」

――なるほど! 中華料理の時に飲む紹興酒も、常温か燗ですものね。ちなみに柳さんが今一番注目しているシャンパンは?


できる男と思われるにはヴィンテージを選べ


柳「ブランドではなくカテゴリーで挙げさせてもらうとヴィンテージ。」

――プレステージキュヴェにもヴィンテージものが多いけど、それとは違うんですか?

柳「うん。ノンヴィンテージと超高価なプレステージキュヴェの間にヴィンテージ、またはフランス語でミレジメと呼ばれるカテゴリーがある。

気候的に厳しいシャンパーニュ地方では毎年安定した品質の収穫を得ることは難しい。それで複数年の原酒をブレンドするノンヴィンテージというコンセプトが生まれたわけだけど、優良年にはその年のブドウのみを使用したシャンパンが造られている。

これがヴィンテージで、今のように各社からプレステージキュヴェが登場するまで、ヴィンテージこそラインナップの頂点だったんだ。」

――それで、柳さんがヴィンテージを押す理由は?

柳「今、市場に出ている各社のヴィンテージは08年や09年だから、熟成期間の点でプレステージキュヴェと遜色なし。それでいて、価格はノンヴィンテージに毛が生えた程度と、めちゃお得というわけさ。」

――(店員に)すいませーん、2本目にヴィンテージくださーい。

柳「飛ばすね、モリリン(苦笑)。」

ヴィンテージなら、こんな1本がおすすめ
「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ 2009」

収穫年のキャラクターを前面に押し出した、モエ・エ・シャンドンのキュヴェがグラン ヴィンテージ。09年はピノ・ノワールの比率が高く、太陽のヴィンテージということも相まり、リッチでパワフル。フレッシュ感も損なわれず、完成度の高い味わい。

¥8,950(税別)/MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL:03-5217-9906


教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える

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