SPECIAL TALK Vol.38

~大切なのは一歩踏み出すこと恐れずに、はじめればいい~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。規制改革会議議長代理、未来投資会議構成員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

地方出身の起業家が日本を元気にする

金丸:私は日本にもっと起業家が増えないと、世界との競争に勝てないと考えているのですが、田中さんはどう思われますか?

田中:まったく同感です。日本を元気にするには、私みたいに地方出身の起業家を増やさなくてはいけない。地方はどこでもそうだと思いますが、親が子どもに「起業しろ」とか「商売をしろ」とかほとんど言わないではないですか。

金丸:「いい大学に行って、大企業に就職しろ」というのがスタンダードです。

田中:なぜかというと、身近に尊敬できる憧れの起業家がいないからではないかと思うのです。

金丸:やっぱり身近なところに模範にできる人がいるのは大きいですよ。いろいろな刺激をじかに受けられますから。

田中:だから生まれ育った群馬で起業を目指す人たちを発掘し、地元にも頑張っている起業家がたくさんいることを伝えたくて、「群馬イノベーションアワード」というイベントを始めました。今年でもう5年目になります。

金丸:それは素晴らしいですね。地元の企業や自治体を巻き込んで始めたんですか?

田中:最初は地元紙の上毛新聞と一緒に進めました。最低でも10年は続けようと思って始めたのですが、いまでは70社ほど協賛してくださっていて、群馬県知事、前橋市長、教育委員長にも参画いただいています。昨年の授賞式には、社会人や学生の方々が2,500名も集まってくれました。

金丸:それだけ注目されているんですね。

田中:うれしいことに群馬県の開業率は、以前は全国平均を下回っていたのですが、このアワードを始めてからは全国平均を超え、2014年度には開業率の伸びで全国1位になりました。

金丸:短い期間で、そこまでの影響力があるなんて、すごいですよ。素晴らしいことです。

田中:自分でも驚いてます。もともと開業率が低かったこともあるんでしょうけど(笑)。ほかの県でも群馬をモデルにした活動が広がっていて、今年は岡山県で「岡山イノベーションプロジェクト」が始まりました。キャッチコピーまで一緒ですよ。

金丸:ちなみに、どんなコピーなんですか?

田中:「求む、出る杭!」

金丸:いいですね。出る杭を叩いているうちは、日本は変われませんから。最後に起業を志す若者へ、何かメッセージをいただけますか?

田中:いまの時代は、起業するにはすごく恵まれている環境だと思います。会社は資本金1円から作れるし、助成金制度も充実しています。それでも起業を踏みとどまる人は、みんな〝見えないオバケ〞に怯えているのではないかと思うのです。何もしていないうちから、失敗したらどうしようと心配してしまう。でも一歩踏み出してみれば、オバケなんていないことがわかる。だからあんまり心配しすぎないで、やりたいことがあったら、一歩踏み出してほしい。その勇気をもってほしいですね。

金丸:これからは地方の時代、地方の起業家の時代です。JINSをはじめ、日本企業で元気なユニクロやニトリも地方で誕生し、いまやグローバルに展開しています。田中さんに刺激を受け、多くの若者が後に続くことを期待しています。本日はありがとうございました。

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