今さら聞けないワインの基礎知識 Vol.6

バブル期の日本人ワイン消費量は実は年間たった1本 → 今は4本。では、本場フランスは果たして何本?


ヨーロッパでは水より、ワインのほうが安いから

柳「日本人がヨーロッパの人たちみたいにワインをガブガブ飲まない理由はいろいろある。そもそも論として、前にも話したとおり日本人がアルコールに弱い人種ということ。

ワインのアルコール度数は12〜14度くらいあるから、ビールの3倍近くになってしまうワイン1本とビールの大瓶3本でほぼ同じ。

それから文化的なことを話せば、ワインが食中酒ということだね。ほらっ、昭和っぽい話になるけど、家で晩酌といったら、ご飯の前にビールと枝豆でしょ。

日本人は食事中にお酒を飲むという習慣がもともと希薄。それに対して、ヨーロッパの人は食前にワイン、食中にワイン、デザートを甘口ワインで締めるくらいだ。」

――徹底してますね。日本だと、フレンチレストランでさえ、お水しか飲まない人がいるくらい。

柳「それよ、それ。さすがに水道水を出してるフレンチレストランはないと思うけれど、日本は水道水がふつうに飲める国。

ところが、フランスの水は石灰が強いうえ、水質の悪い地方もあるから、水道水はあまり飲まない。それでミネラルウォーターを飲料水として買うわけだが、昔はワインのほうがミネラルウォーターより安かった。だから人々は水代わりにワインを飲んでたのさ。」

――水代わりにワイン! パリのカフェとかスペインのバルで飲んでる人たちはまさにそんな感覚ですよね。日本だとやっぱりお値段も張るから、なかなか浸透しないのかしら?

柳「それでもずいぶん安くなったと思うよ。チリワインはEPAのおかげで現在関税がほぼゼロだから、スーパーで1本500円なんて商品もあるくらい。」

――うちの近くのスーパーもチリワインのオンパレードで、ちょっと食傷気味。安い日本ワインはないんですか?関税かからないはずですし。

南フランスとスペインのお手頃ワインが台風の目

柳「日本は人件費が高いからなかなか難しいかな。それでも一升瓶入りの甲州やマスカット・ベーリーAなら、1,500円なんてのも見かけることがある。大勢でガブガブ飲むならこれもありだよね。」

――そういえば、ヨーロッパとのEPAも大枠合意で、ワインにかかる関税は即時撤廃と聞きました。

柳「うん、これが決まれば、チリワインのひとり勝ちを食い止められるかもしれない。ワインの関税は15パーセントまたは1リットルあたり125円のいずれか低いほうだから、何万円もする高級ワインにとっちゃ無関係だけど、低価格ワインへの恩恵は大きい。

南フランスやスペインのラ・マンチャあたりには、お値ごろで品質の高いワインがたくさんあるから、君がスペインで見たように、日常的にワインを楽しむ光景が日本でも広がるかもしれないね。」

――カチャカチャカチャカチャ(カスタネット打ち鳴らす音)、オレッ!

たとえば、こんな1本
「アルマグロ・クリアンサ」

スペイン中部、カスティーリャ・ラ・マンチャ州のバルデペーニャスで造られる赤ワイン。自社畑で収穫されたテンプラニーリョを用い、オーク樽で6ヵ月熟成させて、このお値段は感激。柔らかな果実味とスパイシーな余韻。生ハムやチーズを摘みながら、気軽に味わいたい。

¥890/スマイル TEL:03-6731-2400


教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える

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