女ともだち Vol.7

女ともだち:結婚丸3年、夫とのLINEは業務連絡のみ。そんな女に訪れた恍惚の瞬間

女はいつしか、3つのカテゴリーに分類されてゆく。

「独身」か「妻」か、はたまた「ママ」か。

結婚・出産でライフスタイルが急変する女の人生。恋愛から結婚、そして子育て。それぞれのカテゴリーで、興味の対象も話題もがらりと変わってしまう。

大学時代からの仲良し3人組、沙耶とあゆみ、そして理香。

27歳でいち早くママとなった理香は、子育てに集中するためあっさりと仕事をやめ、家事と育児に追われながら過ごしている。

母親という立場にプライドとやりがいを感じているが、久しぶりに会った男友達に「すっかりママだな」と言われ、傷つくのだった。


確かに、ママだけど...


「椎木(しいのき)さん」

息子を迎えに行ったプレスクールの帰り道で、ママ友の一人に呼び止められた。椎木というのは、理香の苗字である。

「市村さん。どうかしました?」

お受験対策のプレスクールに子どもを通わせるママたちの中には、競争心からか他人との交流を避ける人も多い。そうでなくても緊迫したオーラに包まれていたりするので、会話には非常に気を使う。

そんな中で、市村さんはいつも笑顔で挨拶してくれる感じの良いママで、理香も好感を持っていた。

「来週土曜日朝、少し外出できないかしら?実は、ママ雑誌の撮影に呼ばれているんだけど、担当のライターさんからおしゃれなママを誰かひとり紹介してほしいと言われていて。それは絶対、椎木さんだって思ったのよ」

呆気にとられる理香を尻目に、市村さんは興奮気味に、理香が適任なのだと繰り返す。

「そんな...私なんて」

そう断りかけて、理香は口を閉じた。先日、大学時代の同級生である秀人に言われたセリフを思い出したからだ。

−理香はもう、すっかりママだよなぁ。

ママであることは、もちろん否定しない。ママである自分に誇りだってある。しかし、昔自分に好意を寄せていたはずの男から「すっかりママ」呼ばわりされるのは、はっきり言って不本意だった。

「椎木さんが来てくれたら、私も鼻が高いわ。ぜひお願いできない?」

市村さんが、間髪入れずにそう畳み掛ける。

「...私で良ければ。やってみるわ」

気づいたら、そう答えていた。

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