SPECIAL TALK Vol.35

~失敗するからこそ改良点を考え抜く~

失敗してもあきらめず、原因を考えては改良する日々

澤田:それからしばらくして目を付けたのが、バラ園です。バラ園は手入れにすごくコストがかかるので、処分を検討していたんですが、バラの季節になったとき、とてもいい匂いがしてきた。こんなに素晴らしいバラ園の魅力をもっとわかりやすく伝えられないかと思い、『100万本のバラ』というタイトルで、イベントを開催してみたんです。

金丸:今度はどうでした?

澤田:大成功。集客が5割増えました。実は私、花にはあんまり関心がないんですけど、そんな私でも5月20日頃のバラ園の光景には、本当に感動します。

金丸:それはぜひ見てみたい。

澤田:そうやって私がいろいろ案を出すうちに、スタッフも知恵を絞るようになり、どんどんヒットが生まれていきました。ハウステンボスは冬が閑散期なんですが、なぜお客さんが来ないかというと、暗くて寒いから。だったら明るく、暖かくしようということで、『東洋一のイルミネーション』をやってみたら、お客さんがどっと来た。

金丸:冬だと日が陰るのが早いから、なおさらいいですね。

澤田:それから人気漫画の『ONE PIECE』の館をつくったら、これも大当たり。次の年には『ONE PIECE』の主人公たちが乗っている海賊船の実物大をつくって、敷地内の海に浮かべました。この海賊船には4年間で、100万人以上が乗ったんですよ。

金丸:有田の陶器市並みですね。

澤田:ありがたいことに。失敗の連続だったけど、失敗するたびにたくさんのことを学んだから成功につながったんだと思います。当たり前のことですが、大事なのは、失敗してもめげないこと。なぜ失敗したかを考えれば、改良点が見つかる。改良してもうまくいかなかったら、また考える。そうして最後に一度成功すれば、過去に何度失敗しようと、残るのは〝成功した〞という結果なんです。

金丸:失敗したときも、「課題が見つかった」とポジティブに捉える。だからこそ、次のチャレンジができる。それが澤田さんの強さの秘密なんですね。でも今の若い人を見ていると、安定志向が強い。起業なんて選択肢には入ってないし、就職先も自分が何をしたいかよりも、人気企業ランキングで決めていたりします。この傾向をどう思いますか?

澤田:よくないですね。海外に行っていろいろなものが見たい、いろんなことを学びたいというチャレンジ精神を持った人が少なくなり、内向き志向がますます強くなっているように感じます。このままいくと、日本はひどいことになるんじゃないかと危惧しています。

金丸:同感です。1997年に始まった日本の金融危機では大企業がどんどん経営破綻しました。その原因のひとつは、安定志向で新しいことにチャレンジしようとしない人たちが、会社をダメにしたと私は考えています。このままだとあの悪夢がまた起きそうで、危機感を覚えずにはいられません。

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