その一皿にすべてを賭ける!大人が知らないとマズイ六本木の王道レストラン4選

鯵の握り。夏を代表するネタのひとつ。適度な脂ののり具合で旨みも強く、青背の魅力を再確認。夏はほかにキンメの昆布締めなども

連綿と継承されてきた、文化としての江戸前を今日も貫く、職人の凄み
『鮨 奈可久』

肩書は鮨職人。今回、鈴木隆久氏の名刺で、改めて発見したことだ。『鮨 奈可久』が六本木に誕生したのは昭和54年。現在地に移ってから数えても20年の月日が流れた。カウンターに鎮座する氷柱は銀座『なか田』の親方から学んだ術。16kgの塊を今も毎朝、仕入れている。

「数年前、科学的に検証したらネタを濡らさず鮮度を保つ、最も理に適った方法とわかった」

つまりは、そういうことなのだ。理屈でなく、経験で最善をずっと積み重ねてきた。だから鈴木氏も「文化」と言い切る江戸前の今日がある。

「江戸前の塊」と胸を張る太巻きにはおぼろ、かんぴょう、煮穴子に茹で海老。玉子はじっくり焼き上げるし、椎茸は「10日かけて味を入れる」煮付け。ともかく食べれば渾然一体の味に酔いしれる。ただ旨いと唸ってしまう。

「適当なことをやって、『そりゃぁ、違うよ』なんてお客様に言われるわけにはいきません」。職人の矜持が明日の江戸前へと連なっていく。

写真は「蛸の桜煮」。しっかりした旨み、ほろりとした軟らかさに感激。料理はすべておまかせ¥17,280の例。

店主・鈴木隆久氏の手前で存在感を放つ氷の柱。この周囲に今日のネタが整然と並ぶ。「下に敷くガラスの簾が“ぎんす”。氷から下りてきた冷気を受けても結露しない」

20年を経たとは思えないほど、白木のカウンターが美しい。

※この店舗は、現在休業しております。

琥珀。天然鰻にバーボンウイスキーと醤油を交互につけつつ焼き上げた。ぐるぐる巻きの黄ニラとニラは蒲焼きに、イチゴ酒で炊いた梅も愉快。料理はすべておまかせ¥27,000~の例

本能を直撃する旨さ。命の力を皿に込めて、艶やかに、力強く
『日本料理 龍吟』

遮二無二。『日本料理 龍吟』の山本征治氏から、いつも思うのはそのひと言。さらに食してまた、いつものように感じるのだ。何と明快に旨いのかと。山本氏は断言する。「それは私の力でなく、命の力」。

例えば、夏なら天然鰻。「琥珀」と題した、それは皮目のみパリッと音が出るほど香ばしく、その一方で身はふんわり。驚くべき食感の対比の中で艶やかに、しかし、力強く鰻そのものの魅力が立ち上ってくる。案ずるより早く、まず心身が旨いと叫び出す。

この感激を呼び覚ます技こそ、氏の真骨頂。皿に盛り込まんと欲するのは日本料理の本質で、古来より国土が四季折々で育んできた、豊かな食材のエネルギーを、作り手と食べ手が「何とも言えない美味しさ」で共有する。そうした料理をいつも模索してきたのだ。

曰く、「日本料理の力を信じて」。そうした月日を積み重ね、『龍吟』は今年12月23日で15年目に突入する。

写真は「盛夏湯煙(せいかゆけむり)」。讃岐オリーブ牛に山椒餡をかけて仕上げる龍吟流しゃぶしゃぶ。

「雨雫」鱧の落としに2種のジュレをかけた冷製碗。

「夏宝之釜(かほうのかま)」フカヒレ、鮑、水茄子の餡かけ炊き込みご飯。

「料理の前では黒子でありたい」と店主の山本征治氏。「山本の料理と言われているうちはまだまだです」と断言。「理(ことわり)を料る(はかる)」ことを常に考え、食材が輝く、最高の刹那である〝状態〞をコントロールすることが使命と自認する料理人だ。

禅の言葉、「龍、吟ずれば雲起こる」に由来する屋号に因んで、店内の随所に龍の意匠。人間国宝の作家が手掛けた絵皿も飾られている。

開店して15年。この地にしっかと根を張り、多くの食通を魅了してきた。

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