エーデルワイフ Vol.7

女たちから羨まれる苦労知らずのお嬢妻が、唯一持っていないもの

2017年の東京を生きる大人の女性が、悔いなき人生を歩むために身につけるべき「品格」とは?

30歳で婚約破棄。未来に絶望した千晶は、ナンタケットバスケット教室「エーデルワイス」を主宰する高貴な妻、白鳥雪乃と出会う

千晶は後輩・あずの紹介で出会った正木からデートに誘われるが、結婚し子どもを産み育てることが女の幸せだと言わんばかりの彼の態度にどうしても違和感を感じてしまう。


咄嗟についた嘘


「ああ、やっぱり働いた後のビールは最高!」

からっからに乾いた喉を潤すべく、千晶は一瞬でグラス半分まで飲んだ。

今日は表参道で、千晶が担当する某大手家電メーカーの新製品発表会があった。

半年前から準備を重ねてきたイベントで、実務のほとんどを社長から一任(丸投げ)されていたものだから、やりがいがある分プレッシャーも感じていたのだ。

それが滞りなく無事に終わり、千晶は今、後輩のあずとともに表参道『CICADA』のテラスで大いに開放感を味わっている。

「やっぱり私、一生働くわ。この喜びを失わないために」

思わず口から漏れた言葉は、強がりではない。

先日、正木とのデートで感じてしまった違和感。結婚し、子どもを産み育てることが女の幸せだと、当たり前のように語る彼に千晶は恐怖すら感じた。

この人とは相容れないと、本能が叫んでいた。

「先輩…主婦になり母になればなったで、また別の喜びがあるんですよ」

向かいに座るあずが、呆れ顔で続ける。

「まったく、正木さんみたいな優良物件を自分から断るなんて。…先輩、まさかとは思うけど、浮気者の元カレと復縁したりしてませんよね?」

「し、してないわよ、そんな…」

咄嗟に嘘をついたが、誤魔化しきれただろうか。

あずは妙なところで勘がいいから、困る。

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